雨宮処凛の「世直し随想」

 

 

      

      デモで社会は変えられる

 

 あまみや かりん 作家・活動家。フリーターなどを経て2000年,自伝的エッセイ『生き地獄天国』(太田出版/ちくま文庫)でデビュー。『生きさせろ! 難民化する若者たち』(07年,太田出版/ちくま文庫)で日本ジャーナリスト会議賞受賞。


  「バングラディシュでは抗議のうねりが首相退陣につながりました。ケニアでは増税法案が止まりました。スリランカでは大統領が去りました。韓国では戒厳令に抗議する市民の声が大統領罷免につながりました。すべて10年以内のできごとです!」

 5月23日、『中国嫁日記』を描いた漫画家・井上純一さんの声が国会前に響いた。この日、2回目となる「オタクによる反戦デモ」が開催されたのだ。

 井上さんは世間の「デモなんて意味がない」という声に対し、デモで社会は変えられるとスピーチ。「世界を見ても同じです」と続けたのが、冒頭の言葉だ。

 この日は著名な漫画家やアニメーターが次々とマイクを握る一方、「オタクの決意」という、参加者によるスピーチもあった。「ミスティックだてぐん」と名乗る男性は、オタクの切実な思いを訴えた。「例えばプラモデル、例えばフィギュア、例えばドール。その材料は大半がプラスチック、石油です。作っているのは中国や東南アジアの各国です。それらの国とけんかをし、仲たがいすれば我々の趣味は詰みます、終わるんです」「我々は趣味を追求したいんです。推し活をしたいんです。それができない世の中はどんなに言い訳しても、悪です」

 戦争に反対するオタクたちが集結したこの日、都庁下で開催されている民間団体の食品配布に過去最多の1003 人が並んだ。庶民は物価高騰にあえいでいるのに、国会では、国旗損壊罪にお子様ランチの日の丸は含まれないなんて議論をしている。その落差に、頭がクラクラしたのだった。