非正規公務員の評価 

        (4)「会計さん」という制服    

                                

             竹信 三恵子


 たけのぶ みえこ  朝日新聞社学芸部次長、編集委員兼論説委員などを経て和光大学名誉教授、ジャーナリスト。著書に「ルポ雇用劣化不況」(岩波新書 日本労働ペンクラブ賞)など多数。2009年貧困ジャーナリズム大賞受賞。


 

  昨年来、30人以上の会計年度任用職員や期間業務職員にインタビューを重ね、いまも継続中だ。「地平」という総合雑誌での「ルポ無法労働~非正規公務員の荒野」という連載がきっかけだが、近く単行本として出版するため取材をやり直し、大幅な改稿を進めている。

 そこで見えて来たのは「会計年度任用職員」という制度の威力だ。これは、全く異なる労働者をひとくくりにすることで一色に塗りつぶし、その独自性を見えなくさせる強力な心理的効果を持っているからだ。

 会計年度任用職員は約69万人、任用期間がごく短い職員も含めると全国で約100万人に及ぶ。職種も、一般事務、DV被害者支援員、教員、看護師、図書館司書、困窮者自立支援員、アイヌ民族の生活相談員まで、極めて多様だ。

 それらが一様に「会計さん」などと呼ばれ、ほぼ同じ労働条件でくくられる。すると、それらはひとつの大きな塊にしか見えなくなり、個々の仕事に見合った労務管理や報酬設定など考えることができなくなる。

 先日、NHKがある実験を報じていた。制服を着た人の像と私服の人の像を比べると、制服の像を見た人の視線は制服に集まり、私服だと個人としての顔に視線が集まるという。

 同様に、「会計さん」という制服によって人々の視線は「会計さん」であることに集められ、その多様さや努力、喜怒哀楽には関心が向かわなくなる。

 最近、管理職や正規職員などによる会計年度任用職員の扱いが問題にされることが目立つ。それは、管理する側の悪意というより、制度による心理的効果が関係しているのではないか。

 そんな中で行われる「人事評価」とはいったい何なのか。次回はその視点から考えてみたい。