ロス五輪から女子選手のセックス・チェック復活に、世界の人権団体は猛反発!
玉木 正之
たまき・まさゆき スポーツ文化評論家,日本福祉大学客員教授。著書に『スポーツとは何か』(講談社現代新書)など多数。近刊は「真夏の甲子園はいらない 問題だらけの高校野球」(編・著、岩波ブックレット、2023年)
3月26日、世界のスポーツ界に衝撃の走るニュースが発信された。IOC(国際オリンピック委員会)が女子競技に参加する全選手に対して、性別を確認する遺伝子検査を実施すると発表したのだ。
このような〃セックス・チェック〃は1968年メキシコ五輪から実施されていたが、遺伝子による男女の性別確定は困難で(男女に判別できない遺伝子の持ち主も存在し)、人権上の問題もあり(女性として長年生活している人に、貴方は女性ではないと断定できるのか?)、21世紀に入ってからは、女子選手の性別確認は廃止されていた。
しかし、男性ではないかと疑われた陸上競技の女子選手の男性ホルモン(筋肉増強効果があるテストステロン)を調べると、女性の平均量を大幅に上回っていることが判明したり、パリ五輪の女子ボクシングで優勝した2選手が、世界ボクシング連盟による遺伝子検査では男性と判定され、女子競技への出場を拒否されていたことが判明。
そういった出来事を踏まえてIOCの女性会長コベントリー氏も、「生物学的な男性が女子部門で争うのは公平ではない。女子スポーツというカテゴリーを保護する」と宣言。2年後のロス五輪の予選からセックス・チェックの復活導入を決定したのだ。
が、即座に世界各国の人権団体や性的マイノリティーの支援団体から反論が噴出。JOC(日本オリンピック委員会)理事の來田享子氏も「女性差別時代に逆戻り。即座に撤回すべし」との意見を公表した。
今回のIOCの決定を、ロス五輪で開会宣言を行うトランプ大統領の「人間は男性と女性しかいない」という性同一性障害の人々を否定する考えを肯定する行為と批判する声もある。はたしてロス五輪は、平穏に開催されるのか?