雨宮処凛の「世直し随想」
オタクたちの反戦デモ
あまみや かりん 作家・活動家。フリーターなどを経て2000年,自伝的エッセイ『生き地獄天国』(太田出版/ちくま文庫)でデビュー。『生きさせろ! 難民化する若者たち』(07年,太田出版/ちくま文庫)で日本ジャーナリスト会議賞受賞。
全国各地で「戦争やめろ」の声が燎原(りょうげん)の火のように広がっている。3月25日には雨天にもかかわらず国会前に2万人以上が集まり、4月5日にも全国各地でペンライト集会などが開催された。
そんな中、3月28日に国会前で開催された「オタクによる反戦デモ」に参加した。 さかのぼること2週間前、デモなど企画したことのない特撮オタクの高橋裕行氏が思いついたというこの場には「デモ初参加」と思われるオタクの方々を中心に2千人以上が集結。参加者たちが掲げるプラカードに躍る言葉は「推しのいる日常を守る」「せんそうとかふつーにむり系」「戦争はクソゲー」などなど。アニメのキャラクターを描いたプラカードも多く、ティラノサウルスの着ぐるみ姿の人や、なんらかのコスプレっぽい人の姿も目立つ。組合系ののぼりなどは一切なく、デモ隊から突き出るのぼりに書かれているのは「インターネット老人会 埼玉県支部」「王子様の青春は私が守る連合」など謎の組織名ばかり。みんなで声を合わせたコールでは、「戦争反対」「文化を守れ」と並んで「推しのいる世界を戦場にするな!」。 著名な漫画家などが次々と登壇したスピーチでは、日本のアニメ人気には国境がないこと、戦後日本が80年平和だったからこそ日本のオタク文化は世界で花開き、日本の大事な産業のひとつに育ったこと、またトランプの戦争が続けば石油だけでなく紙の値段も上がり、同人誌が作れなくなることなどが訴えられた。 推し活中の一人として、私も戦争反対の声を上げた。