非正規公務員の評価
(3)育休逃れの迂回路
竹信 三恵子
たけのぶ みえこ 朝日新聞社学芸部次長、編集委員兼論説委員などを経て和光大学名誉教授、ジャーナリスト。著書に「ルポ雇用劣化不況」(岩波新書 日本労働ペンクラブ賞)など多数。2009年貧困ジャーナリズム大賞受賞。
「勤務態度」や「人事評価」は、非正規公務員から働き手の権利を外すための、使い勝手のいい道具になる。そのひとつが育休逃れの迂回(うかい)路としての評価の利用だ。
中国地方のある町で、再度の任用を繰り返して6年働いてきた会計年度任用職員の女性が妊娠した。出産は年度末か4月初めの予定だ。その後、育休を取ろうと、上司に妊娠を報告すると、「いつまで働くのか」と聞かれた。彼女はあっけにとられ、育休を取って働き続けたいと答えた。
すると上司は、「時期が悪かった」と言った。会計年度任用職員は年度が始まる4月に職場にいないといけないという意味で、育休を取るなら次年度の任用はないということだ。
非正規公務員は8割近くが女性だ。次の任用が予定されるなど一定の条件があれば育休も取れる。そこで、上司の発言は育休の取得による不利益変更では、と聞くと、上司は「勤務態度の評価が低いことが理由」と主張を変えてきた。
それまで「戸籍などに詳しいので助かっている」と言われてきたので驚き、勤務態度のどこが悪かったのかと聞いた。すると、服装や、通勤費問題などを複数挙げてきた。
服装の問題は、夏の猛暑時はノースリーブで執務したいと総務課に確認し、クールビズとしてお墨付きが出ている。通勤費は、たまに自宅以外から出勤していたことについて、自宅からの分として支給されている通勤費の不適切使用、というもので、度を越した私生活の監視だ。
ひとつひとつ反論し、残ったのは、「勤務中に他の課に行って長く話をしていた」だった。正規職員でもそうした行動は日常的だが、評価基準が曖昧で押し返せず、女性は再度の任用がされないまま失業した。