暇工作 「戦争拒否権」
ひま・こうさく 個人加盟労組アドバイザー
全労連損保関連支部の木村裕子さんが、一心不乱に何やら作っている。手書きのウチワだ。これから国会前行動にみんなで出かけようというところ。そう、今こそ労組が声を挙げなくてどうする。労組の大小は関係はない。政府に対して。経営者や経営者団体に対して。平和はまさに経済問題そのものになっている。原油や、肥料、医療品の原料がスムーズに入手できるのかどうか。価格はどうなる?トヨタ自動車は中東向け輸出車両の減産を決めた。
かつて、本欄でも取り上げたが、全労連損保関連支部による某損保会社ビル前のビラ入れ行動に対し、監視のために出てきた人事部幹部が、ビラに書かれている「反戦平和」の文章を発見して、「労働組合に許されている活動は経済闘争だけだ」と無知と偏見そのものの言葉をビラ入れ行動者に対して投げつけ、ビラ入れ行動を牽制したことがあった。しかし、いまや、平和を求めることは、イコール世界経済や生活を守る活動そのものであるということが、誰にもよく理解できる事態となっている。平和と経済は分かちがたい。あのときの人事部幹部社員の認識もそのようにアップデートされていればいいのだが。
アップデートと言えば、今回のアメリカが起こした戦争は改めて、憲法9条の意味合いをいっそう深めてくれた。本心とは違うとしても、高市首相ですらトランプの戦争協力要求を呑めなかった抑止力はやはり「憲法9条」だった。これを「戦争拒否権」というのは、「あすわか弁護士会」の久保木太一弁護士だ。「高市首相は憲法9条に救われた」と評する論者(例えば斎藤美奈子さん)もいる。
「拒否権」とは国連議決における大国のそれだけだと思っていたが、日本国民が持つ気高い拒否権もあったのだ。いつもアメリカやロシアの横暴な「拒否権」に振り回され、正義の提案が葬り去られ、失望し続けてきた日本国民が、今度はわが「拒否権」を堂々と行使する番だ。大切な憲法9条、決して離してなるものか。
ついでにもう一つ。国際シンクタンク「寄稿コミュニティ研究所」によれば、米・イスラエルのイラン攻撃開始からわずか2週間で500万トン以上の二酸化炭素が排出されたそうだ。この温室効果ガスの排出量は車110万台が1年間に出す量に相当する。地球温暖化がさらに一挙に加速したわけだ。戦争は最大の環境汚染だ。反戦は地球を守るたたかいでもある。先の選挙では反戦や9条、気候変動をテーマに訴えた(といえるほどのアピール力は感じられなかったが)リベラル・左派政党が議席を減らしたが、選挙後、労働者や市民による国会前行動の盛り上がりは対照的だ。明らかに潮目が変わっている。先日の国会前は3万人の人波で埋まった。木村裕子さんのウチワを作る手さばきにも力がこもるわけだ。