高市首相の特異な憲法観
明日の自由を守る若手弁護士の会(あすわか)
弁護士 久保木太一
高市早苗首相は、本年2月20日の施政方針演説で、「国会における発議が早期に実現されることを期待します」などと述べ、改憲への強い意欲を示しました。
私は、高市政権による改憲――〈高市改憲〉に強い危機感を抱いています。それは、高市氏が特異な憲法観の持ち主だからです。
今から約20年前である2006年5月18日、衆議院憲法特別委員会に小林節氏(憲法学者)が参考人として呼ばれた時のことでした。当時自民党の一議員であった高市氏は【制限規範ではなく授権規範としての憲法を強調する】自説を披露しました。
憲法は、国家に対するルールですから、ここでいう『制限規範』というのは、国家権力を制限するという考え方です。これは〈立憲主義〉にも通じる考え方で、スタンダードな理解です。
他方、『授権規範』というのは、制限規範に対置する考え方で、国家に権力を与える、という意味でしょう。
つまり、高市氏は、権力者にさらに権力を与えるための道具として、憲法を考えているのです。なお、この高市氏の自説は、その場で小林氏によって非難されましたが、高市氏が自説を改めることはありませんでした。
また、冒頭で紹介した施政方針演説で、高市首相は、「どのような国を創り上げたいのか、その理想の姿を物語るものが憲法です」とも発言しています。
この「憲法は国の姿を物語るもの」という言説は、改憲論者がよく使う〈常とう句〉です。この言説の狙いは、国家権力を縛るという憲法の本来の機能(立憲主義)の否定と、国民主権が明記された憲法前文を書き換えることで、国民よりも国家を上位に置くことです。
〈高市改憲〉の危険性を広める必要性を感じています。