暇工作 「横に広がるなかまづくり」
ひま・こうさく 個人加盟労組アドバイザー
全労連損保関連支部のすぐ近くに、おなじ個人加盟労組で、ここ10年ほどで組合員を30数人から10倍増やして400名近くにも達した労組がある。「地域労組・こうとう」である。昨年、全労連が開いた労働運動交流集会「レイバー・ユニオン・カレッジ」で話題を集め広く知られることとなった。
地域労組と言えば、企業や職種など、いわゆる縦線ではなく地域という横糸を軸にした労組だ。だから、組合員の働く場所や勤務先はバラバラだ。もちろん、同じ職場にいる同僚を引き入れ、「分会」を作るケースもあるから、人の数だけ職場があるわけではないが。
全労連損保関連支部のすぐ近く、とは、地域的な意味もあるが、構成も運動スタイルも似通った面があるだけに、学び合うべきところが多いという意味でもある。
個人加盟労組では、組合員に何か問題が起きた場合、その直接の当事者は一人か二人という少数の場合が多い。何か問題を抱えて労組の門を叩いた人も多いから、それが構成員全体の問題となるためにはしばらく時間がかかる。一人の話をじっくり聞き、対策を練り、行動を起こすためにもそれなりの時間が必要だ。だが、そのことは、かえって構成員の団結をより強固にするうえでの要素にもなる。他者と気持ちを共有すること、ともに方策を見つけ出し、たたかいの道筋をつけること。そうした努力のなかで、人が本来持っている「つながりたい」という本質をより深めることが出来る。
「地域労組・こうとう」の発展は、たぶん、そのようにして、横に広がっていったのだろう。組合員自身が実感している組合の「良さ」を人々に伝える行動を繰り広げた結果だ。
損保関連支部のAさんもそうした運動家である。縁のできた人には必ず「うちの組合に入りませんか」と語りかけるのが彼女の決め台詞である。それがきっかけで、新入組合員を増やすだけでなく、呼びかけが、相手の職場のパワハラを告発する運動にも繋がって、そこの職場環境を一変させるなどの成果もあげた。自信を持ったAさんの活動は、勢いあまって、すでに大きな企業労組(闘う組合である)の幹部にまで声をかけることもある。傍のなかまが、「あの人は別の組合に入っているのだから」と注意しても、「あ、そう。でも二重加盟してもいいんでしょ」と意に介さない。発想に借り物ではない自由奔放さの持ち主だ。人は、つながりを求め、そこに環境を変えるパワーの源があると信じ込んでいるのが魅力的だ。
Aさんに象徴されるように、人が本来持っている「つながりたい」という自然の要求を信じ、それを広げることによって前に進もうとする組合員たちの情熱がある限り、個人加盟労組の前途には希望しかない。