斎藤貴男「レジスタンスのすすめ」
対決姿勢に喝采の由々しき事態
さいとう・たかお 新聞・雑誌記者を経てフリージャーナリスト。近刊「『マスゴミ』って言うな!」(新日本出版、2023年)、「増補 空疎な小皇帝 『石原慎太郎』という問題」(岩波現代文庫、2023年)。「マスコミ9条の会」呼びかけ人。
「安倍(晋三)さんの時もそうだったんですけど、(内閣)支持率はやっぱり中国と韓国と対決姿勢を示した方が、上がっていくんですよ」
高市早苗首相の人気について、政治評論家の田崎史郎氏が語っていた。TBS系の情報番組「ひるおび」で、昨年11月25日の話である。
「中国の言うことを聞いて(集団的自衛権の行使に関わる)答弁を変えたりしたら、どすんと落ちたでしょうけど」
筆者は自民党の宣伝マンみたいな田崎氏の立ち位置に共感できないが、この見立てにはうなずかざるを得ない。実際、夏の参院選であれほどの旋風を巻き起こした国民民主党や参政党の影が、いつの間にかすっかり薄くなっている。
由々しき状況だ。票と金になりさえすれば何でもアリの自民党政治家に今さら道を説いても仕方がないが、有権者の方も、もうちょっとどうにかならないものか。
チンピラ同士が「やんのかコラ」なんてすごみ合う図はバカッぽくて面白いかもしれないが、何かの拍子で本気の殺し合いに発展しないとも限らない。しかも高市政権の挑発相手はチンピラならぬ、世界2位の大軍事帝国なのだ。
本物の戦争とスマホゲームの区別もつかない支持層と、米国の方ばかりを向いて、彼女らは2026年度当初予算案に9兆353億円もの軍事費を盛り込んだ。12年連続で過去最大が更新され、初の9兆円台乗せとなった。
何事も強気一辺倒の政権は、一般会計の全体も122兆3092億円と過去最大に。だが裏付けとなる財源はなお乏しく、国債依存度は高まる一方。いずれ財務官僚らが巻き返しに転じるのは必定で、またぞろ軽減税率のエサでマスコミを操っては消費税大増税の大合唱を演出し始めるのも、これまた予定調和のシナリオか。
今年も警戒と抵抗に明け暮れる1年になりそうだ。