雨宮処凛の「世直し随想」

 

 

      

    「違法」確定したのに謝罪なし

 

 

 あまみや かりん 作家・活動家。フリーターなどを経て2000年,自伝的エッセイ『生き地獄天国』(太田出版/ちくま文庫)でデビュー。『生きさせろ! 難民化する若者たち』(07年,太田出版/ちくま文庫)で日本ジャーナリスト会議賞受賞。


  

 違法行為をした側が、勝手に賠償額をディスカウントする。そんなことが、まかり通っている。しかもそれをしているのは、国だ。

 そのような無法行為が行われているのは、生活保護引き下げ訴訟において。

 13年、第2次安倍政権下で生活保護基準が平均6・5%、最大10%引き下げられたことは多くの人が知っていると思う。これに対して生活保護利用者千人以上が原告となり、引き下げを「違法」として国を訴えたのが10年以上前。

 裁判が大きな山場を迎えたのは今年6月27日。最高裁がこの引き下げを「違法」と認めたのである。原告の勝利に、弁護団も支援者も最高裁前で喜びを爆発させた。

 さて、通常であればこのような場合、大臣や総理大臣が原告に謝罪、被害の回復や補償の話になっていくわけだが、ここから予想外の展開となった。厚労省は何度面会しても謝罪せず、今後の対応については「専門家で審議する」の一点張り。自らの行いが違法と判断されたのに、往生際の悪い対応が続いたのだった。

 そうして11月17日、専門委員会の報告書がまとめられ、21日、厚労省は方針を発表。が、その対応は不誠実極まるものだった。新たに別なやり方で引き下げをするものだったからだ。いわば、違法行為をした側が被害を矮小(わいしょう)化し、補償を「値引き」するようなもの。

 また、原告と原告以外で給付に差があるなど分断をあおるようなものだった。10年に及ぶ裁判で、原告の200人以上が命を落としている。どうか国は、誠実に向き合ってほしい。