WBC 過去に出場拒否も


       

        玉木 正之

 

たまき・まさゆき スポーツ文化評論家,日本福祉大学客員教授。著書に『スポーツとは何か』(講談社現代新書)など多数。近刊は「真夏の甲子園はいらない 問題だらけの高校野球」(編・著、岩波ブックレット、2023年)    


 

 今年(26年)3月、第6回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)が開催される。

 なぜ〃クラシック(伝統的)〃なのかと言えばMLB(メジャーリーグ・ベースボール)にはミッドサマー・クラシック(真夏の伝統)と呼ばれるオールスターゲームと、フォール・クラシック(秋の伝統)と呼ばれるワールドシリーズがあり、残る野球シーズンの春にもスプリング・クラシック(春の伝統)と呼ぶビッグイベントを創りたかったのだ。

 だからWBCは、MLBとMLBPA(メジャーリーグ選手会)が創ったWBCI(WBC株式会社)が運営しているのだが、このような〃世界的野球大会〃を最初に提案したのは日本人だった。

 それは〃社会人野球の父〃と呼ばれた故・山本英一郎氏。彼は1998年にワールドシリーズの勝者と日本シリーズの勝者が闘う〃スーパー・ワールドカップ〃をMLBに提案。

 03年には第1回大会をアメリカで開催。07年第2回大会は日本で開催とまで内定した。が、01年にアメリカで9・11同時多発テロが発生。そのうえNPB(プロ野球の英語略称)が積極的に動かなかったこともあり、〃スーパー・ワールドカップ〃は雲散霧消。代わってMLBとMLBPAによるWBCの実施が一方的に決定されたのだった。

 それはあまりにも突然のことだったので、NPBもNPB選手会も、最初は出場を拒否。するとWBCIは、日本の不出場による利益喪失分の補償を求めるという何とも無茶苦茶な要求を主張。NPBは仕方なく日本代表チームを出場させたのだった。

 その結果、日本は第1、2回大会に連続優勝。前の第5回大会にも3度目の優勝を果たして、日本人は大喜び。しかし過去の否定的な歴史も、忘れないでいたいですね。