「労働TPIC」(連合通信社・特信版)
経営者の甚だしい劣化
相次ぐ経済団体への提言
長時間労働への規制強化の流れに逆行する、経済団体の提言が相次いで出されています。
楽天の三木谷浩史氏率いる「新経済連盟」が7月、残業代が支払われない高度プロフェッショナル制導入の業種要件の撤廃を提言しました。併せて、「成長意欲があり、一定の基礎的能力を持つ労働者」について、労働時間規制の適用を一部外す「成長支援型労働制度」を提言しています。技能未習熟の若手を念頭に置いているとみられます。「ブラック企業経営者」がさぞや喜ぶことでしょう。
経済同友会は5月、労働基準法の適用を外す「雇用型自律労働契約」を提唱。若手や非幹部社員も対象です。7月には、サービス産業を対象に「クラフトマン・エグゼンプション」なる制度の導入を打ち出しました。訓練期間中の業務遂行は労働時間と扱わないそうです。人材育成の初期投資の金さえ払いたくない、そんな考えがみえます。
経団連は昨年、現場の労使で自由に残業上限などを外せる「労使協創協議制」を打ち出しました。厚生労働省の労働基準法見直し論議をにらんだ動きです。
そんな働かせ方を広げて「持続可能な社会」を築けるというのか。日本の経営者の劣化が甚だしい。