雨宮処凛の「世直し随想」
マムダニ氏当選に見る希望
あまみや かりん 作家・活動家。フリーターなどを経て2000年,自伝的エッセイ『生き地獄天国』(太田出版/ちくま文庫)でデビュー。『生きさせろ! 難民化する若者たち』(07年,太田出版/ちくま文庫)で日本ジャーナリスト会議賞受賞。
アメリカ・ニューヨークの市長選挙で、民主党のマムダニ氏が当選した。「民主社会主義者」を名乗る氏は、ウガンダ生まれでイスラム教徒。「多様性」を体現したような人物だ。 思えば昨年の今頃は、大統領選でカマラ・ハリス氏がトランプ大統領に敗れたのだった。
インド出身の母とジャマイカ出身の父を持ち、気候変動や性的マイノリティーの問題に取り組む女性候補がトランプ氏に敗れたこと。その事実は、昨年の都知事選、兵庫県知事選で相次いで「リベラルな女性候補」が負けたことと相まって結構な絶望となっていた。しかし、トランプ就任から10カ月のニューヨークで、マムダニ氏は勝利した。この先何ができるのかは未知数だが、生活に根ざした政策が理解を得たことの意味は大きい。世界各地で「移民の恐怖」をあおる政治家・政党が支持を伸ばしている今だからなおさらだ。
他にも、希望の芽と言えるような動きはある。例えば10月、トランプ政権に抗議する「王はいらない」デモが全米各地で開催、参加者総数は700万人にものぼったという。ドイツでは、今年2月の選挙で極右政党「ドイツのための選択肢」(AfD)が躍進したわけだが、一方で「左翼党」も躍進している。また、10月末投開票のオランダ下院の総選挙では、移民排斥を訴えて支持率を伸ばしていた極右政党「自由党(PVV)」が議席を大幅に減らし、中道リベラル政党「民主66(D66)」が第一党となった。
今、あらゆる場所で地殻変動が起きている。それをしっかり、見ていきたい。