雨宮処凛の「世直し随想」

 

 

     生き抜くための実用書


 あまみや かりん 作家・活動家。フリーターなどを経て2000年,自伝的エッセイ『生き地獄天国』(太田出版/ちくま文庫)でデビュー。『生きさせろ! 難民化する若者たち』(07年,太田出版/ちくま文庫)で日本ジャーナリスト会議賞受賞。


 私事で恐縮だが、2月に出した『死なないノウハウ独り身の「金欠」から「散骨」まで』が発売1週間で3刷となった。

 もう本当に、具体的なことばかりを詰め込んだ実用書だ。「お金がなくなったら」「働けなくなったら」「親の介護が必要になったら」、はたまた自分の死後の後始末までを網羅した。

 生活保護や雇用保険、傷病手当金などの公的制度はもちろん、親の介護施設の選定から納骨までを代行してくれる民間サービス、自らの死後のスマホやサブスクの解約、親が亡くなった場合の口座凍結について、DV男や虐待親に居場所がバレないための支援措置、行方不明者の不受理措置、入っておくべきがん保険の種類、警察が動いてくれない場合、被害届より告訴の方が有効などなど、「使える」情報を盛り込んだ。

 どれもこれも、アラフィフで独り身、フリーランスという超不安定な自分が、喉から手が出るほど欲しかった情報だ。自らの不安をしらみつぶしにするような取材を敢行してまとめたところ、大きな反響を頂いているのである。

 紹介している民間サービスの中には、自分がずっと使っていたものも含まれる。例えば何十年も毒親の支配に悩んでいた友人に紹介した相談室。介入してもらったことで円満に離れることができ、今もお互い落ち着いた生活をしている。それまでどこに相談しても「よく話しあって」で終わっていたのが、さまざまな制度を組み合わせ、双方納得する解決に至ったのだ。

 そんなノウハウを詰め込んだ一冊。ぜひ、手にとってみてほしい。