昭和サラリーマンの追憶 

              

      

       現職都知事のセコい手口

 

             前田 功


 まえだ いさお 元損保社員 娘のいじめ自殺解明の過程で学校・行政の隠蔽体質を告発・提訴 著書に「学校の壁」 元市民オンブズ町田・代表


 パー券&裏金問題で、現政権は不人気。これに乗じてか東京都の小池知事が首相になろうと蠢いているという噂がある。

 彼女はかっこいいこと言って都知事選挙に臨み今の地位を手に入れたが、それは口先だけ。情報公開をキャッチフレーズにしていたが、自分に都合の悪いこと情報は一切公開しないケースが、就任後、何度もあった。

 最近、身近で小池都知事のセコさを感じることがあった。筆者の住む町の自治会で、能登半島地震のような大災害に備えるためある防災用具を買うことになった。3~40万円のものだったが、都に申請すると30万の補助が出るというので申請し承認された。ただ、承認には条件がついていた。都が示した書式で、この補助金は都知事が承認したものであると明記して町内の全ての掲示板に貼ること、という条件であった。

 書式は、下の方に購入した用具の名称などを書き込む枠があり、上のほうに小池知事の写真が大きく載っている。都からの補助金を活用した旨を記載する欄もあるが、一見しただけでは、小池百合子の選挙ポスターかと思ってしまう。小さな額かもしれないが、こんな手口で税金を使って選挙の事前運動をやっているんだろうと感じた。公職選挙法違反には問えないんだろうが、現職首長にはこんな手があるんだと思った。

 同じような手口だが、もう一つ。こちらは額がすごそうだ。東京都では3月11日から31日まで「暮らしを応援!tokyo元気キャンペーン」というのをやっている。キャンペーン期間中に、PayPayなど4種類の対象アプリでQRコード決済すると、後日、決済額の最大10%(対象アプリごと上限3,000円相当)のポイントを還元!というのをやるそうだ。予算額に達したら終わるとしているが予算額は報道されていない。

 こういうことに熱心な人は4種類とも上限まで使うだろうが、仮に1000万都民が1種類のアプリで参加したとしても300億である。神奈川県に住む知人は、これを聞きつけて家の近くで買うつもりだった家具を、東京の店で買うことにしたそうだ。いくら予算を用意しているのか分からないが、東京都以外に住んでいる人も使うとすると、予算はすぐなくなってしまうのかもしれない。

 都知事選挙が近い。これらは、公費をバラマくことで票を買おうとしていると言ってよいのではないか。

 都の公費というと、東京晴海の五輪選手村マンションHARUMI FLAGの話がある。選手村の宿泊施設を分譲や賃貸用に改修したものだ。ここの土地は、銀座駅から2.5km。周辺の路線価などから計算すると「適正価格は1339億円」とされる都有地だったが、三井不動産など大手デベロッパーに1296000万円で売却された。坪32万円、周辺地価の9割引き、1000億円以上の値引きだ。

 不動産会社の広告によると、都営大江戸線「勝どき」駅から徒歩18分。中央区晴海5丁目。約18haの広大な敷地に東京都と11社の民間企業がつくりあげる4,145戸の分譲住宅と商業施設の複合開発。3方の海に向かって開かれた眺望と豊かな自然を体感する、東京湾の新たなるランドマーク、とのこと。

 報道によると、買い手が殺到し、平均倍率10数倍、最高266倍とか。1人で30戸も申し込みにした人もあったそうだ。後の方の売り出しでは、批判を受けて1人で申し込める戸数を制限したが、不動産広告を見ると、その後多くが売りに出されている。投資&転売目的で購入されたことが明らかだ。分譲棟が月家賃34.8万円で賃貸として出ていたり、売値2億4000万円の物件広告もあった。

 この土地売却については、都民の共有財産である都有地は適正価格で売るべきだったとして、小池百合子都知事を被告とした住民訴訟が起こされ、現在最高裁にかかっている。

 東京都の総予算は8兆円を超える。それからすれば、1000億くらい都知事が勝手に値引きしていいという考えなのかもしれないが、われわれ庶民からすれば、ものすごい額だ。都の公金が都民に説明できない闇の中で使われている。

 闇の中で、何が行われ小池氏と購入業者の間で何が約束されたのか、知りたい。