雨宮処凛の「世直し随想」

 

 

     裏金議員たちを刑事告発


 あまみや かりん 作家・活動家。フリーターなどを経て2000年,自伝的エッセイ『生き地獄天国』(太田出版/ちくま文庫)でデビュー。『生きさせろ! 難民化する若者たち』(07年,太田出版/ちくま文庫)で日本ジャーナリスト会議賞受賞。


 年末から、自民党の裏金問題が報じられている。

 一時は安倍派「5人衆」も東京地検特捜部の事情聴取を受けたりと、「全員立件?」という空気が漂った。

 しかし、立件されたのは政策秘書など10人。大物ぞろいの「5人衆」を含む幹部議員らは不起訴処分となり、捜査は終結。誰も納得していないのに「政治とカネ」問題には幕引きがされそうになっている。

 そんなことは許さないと、これに憤った人々が「自民党ウラガネ・脱税を許さない会」を結成。2月1日、「5人衆」を含む10人の自民党議員を「所得税法違反(脱税)」で東京地検に刑事告発した。

 同日に開かれた記者会見に、私も「呼びかけ人」の一人として参加。「5人衆」の一人である世耕弘成前参院幹事長は、現在も続く生活保護引き下げの旗振り役だったことを指摘した。

 もっとも貧しい層の生活費を1割カットすることを提言して実現、しかしその引き下げは今、全国各地の裁判所で「違法」という判断が続いている(生活保護引き下げを違法として始まった通称・いのちのとりで裁判。現在、地裁レベルでは14勝11敗)。が、それに対してダンマリを決め込むだけでなく、自身は1500万円以上をキックバック。かたや生活保護利用者たちはこの物価高騰の中、真夏でもエアコンをつけないなどして1円2円単位の節約に苦しんでいる。弱者に厳しく自身と身内に甘い政治のあり方に異議を唱えさせて頂いた。

 さて、この刑事告発、どうなるのか。ぜひ、行方を見守ってほしい。