雨宮処凛の「世直し随想」

 

 

     監理措置制度とは?


 あまみや かりん 作家・活動家。フリーターなどを経て2000年,自伝的エッセイ『生き地獄天国』(太田出版/ちくま文庫)でデビュー。『生きさせろ! 難民化する若者たち』(07年,太田出版/ちくま文庫)で日本ジャーナリスト会議賞受賞。


 この6月、「改正入管法」が施行される。

 これまで、難民申請中の外国人が送還されることはなかったものの、6月以降は、3回以上難民申請をしている人は強制送還の対象になりえるというものだ。

 「死ねということですか」「強制送還されるくらいなら自殺する」

 私の周りで難民申請している外国人からも、そんな悲鳴が上がっている。

 そんな改正入管法はもう一つ、大きな問題をはらんでいる。それが「監理措置」制度。難民申請をして収容を解かれた外国人に「監理人」がついて監視するというものだ。入管が監理人を選定し、その監理人は外国人が働いていないかどうかなどを逐一監視して入管に報告しなければならない。もし、働いているのに働いていないなどの報告をすれば、監理人が10万円以下の過料となる仕組みだ。

 これには、外国人を支援する人たちから「入管の下請けとして監視するなんて無理」「これまでの信頼関係が壊れる」という声が上がっている。

 それだけではない。「新たな貧困ビジネスの温床になる」と指摘する人もいる。監理人を引き受ける代わりに外国人を違法に働かせたり、性的搾取だってできてしまう。「入管の施設に収容か、強制送還か」をちらつかせればなんだって言うことを聞かせられる相手だ。

 こんな奴隷労働を合法化してしまうような入管法が6月から施行されるのである。まだまだ知られていない監理措置制度の危険性。ぜひ、関心を持ってほしい。そしてこちらが入管を「監視」していきたい。