松崎菊也「フドートク主義」宣言

 

         「もしトラに総理は相手にされるか」

     


 まつざき・きくや 戯作者 コント集団「ザ・ニュースペーパー」リーダーを経てTBSラジオ「松崎菊也のいかがなものか」のパーソナリティ等ラジオテレビでも活躍。現在は執筆活動のほか政治風刺ライブなどを行なう。日本大学芸術学部卒


 安倍政権が被爆地広島にアメリカ大統領バラク・オバマを招いたことを思い出す。行政トップの業績を測るのは支持率しかない。内政で支持率を下げた安倍は地球儀を俯瞰する得意の外交で「被爆地にアメリカ大統領が花輪を奉げたぞ。私の業績だ!」と胸を張った。

 実際は任期の最後にオバマが核廃絶を内外に主張するのに象徴的な場所として広島を選び、その露払いを指名されたに過ぎぬ。その得意の外交で安倍は直後に読み違えてしまう。オバマの後の大統領はヒラリー・クリントンになると高をくくり、トランプが当選して慌てふためいた。慌ててにじり寄るが、頭越しに米朝首脳会談をやられちまい、ついでに日本に寄り道して米軍基地から直接ゴルフ場に乗り込むという舐めたマネをされても、バンカーで転びながら必死で付き従うなっさけねえポチとなり果てた。

 自民党がひっくり返るほどの裏金事件の責任を自らに課すことなく、岸田はバイデン大統領から国賓待遇を受けて破顔一笑。被災地輪島塗のコーヒーカップを贈り、議会では同盟関係のさらなる深化を(非常に巻き舌のアンチョコ英語で)演説した。分かりやすい男だ。得意の外交で点数を稼いだ気になった安倍政権同様、向こう岸(田)に立ちはだかるのは、あの「もしトラ」。安倍より小者の風見鶏が相手にされるか、先行きはヒジョ~にキビシイ。