「責任者出てこい!! の「関西・大阪万博」に

始まる前から「赤字は大阪府市の預貯金でまかなう」 ??

 

 

           山口 道宏

 

 


 やまぐち・みちひろ  ジャーナリスト・元星槎大学教授  主著に『老夫婦が独りになる時』『東京で老いる』『男性ヘルパーという仕事』『無縁介護』『申請主義の壁』『ドキュメント ひとりが要介護になるとき。』がある。日本ペンクラブ会員。 


  またまた「万博」が揺れている。

 早くも大赤字が心配される国策だが、いまから尻りぬぐいは誰がするんや、の始末だ。

 「赤字になるとややこしい。誰が払うんやとなる」(松本正義関西経済連合会会長) と地元財界すら懸念を隠せない。もう「万博」はやめたい、が本音か!?「日曜報道THE PRIME」(フジテレビ)での一コマだ。

 「コレ、使いましょうよ」と、現大阪府吉村知事・維新の党副代表に、同党の創始者で元大阪府知事・市長の橋下徹がなにやらけしかけている。

 「コレ」とは何か??

 大阪府市のもつ貯金(「財政調整基金」)を指し、府が2262億円、市は2452億円あるから「(赤字穴埋めに)使えばいいのだ」と。吉村は答えている。「もし赤字がでたときは橋下さんのおっしゃる通り、府市で負担する考えはあると思う」。ただし吉村は利口だ。こう加えた。「(そのときは)国と大阪府市と経済界で協議すべき。万博は国家事業だから」。

 冒頭のように大阪経済界も後ろ向きとなれば、赤字補填は国なのか、大阪府市なのか、いずれも我々国民の税金という意識は2氏には皆無だ。

 それにしても橋下にしても吉村にしても「万博」を私物化している。

 どうやら「関西・大阪万博」とは「維新の会」が主催する祭典らしい。国民・大阪府市民の血税を、この際だから使っちゃえとテレビで言及するのだから、ほとほと呆れる。会場建設費の3分の2は国と大阪府市が負担する。

 「コレ」は、ほかならぬ大阪府市民のものだ。橋下は行政経験にしたり顔で大阪府市のフトコロ事情を臆することなくポロっと公言した。もはや大阪府民は気おくれすることはない。寝かせている5.000億円に近い大阪府市の蓄財の有効利用を求めたほうが賢明だ。ほな、やめとかな「万博」がいい。

 「関西・大阪万博」はインバウンドが助けてくれるのか、その後のIR(「カジノ」)が助けてくれるか、もはやかぶりを振った「バクチ」は始まっている。