編集委員の「一語一笑」



 一票の格差是正が依然放置されているが、一票の二倍や三倍近い格差は最高裁により「違憲または違憲状態」とされた。さすがに裁判所も選挙を無効にする度胸はないが、違憲・違憲状態の選挙では成立した法律(秘密保護法、共謀罪、安保関連法(集団的自衛権))の効力自体も危うい。許容格差は1.49倍までではないか。(ま)

 

 「週刊朝日」の休刊に続き、「朝日新聞」の実売数が400万部を切ったという。ピーク時の半分以下。実売数に比例する紙面広告収入も半減。ただし、政府の広告は元の価格。政府広報を垂れ流し、忖度するわけだ。幹部はキシダと会食。クオリティーペーパーなんか大昔の話。これから大リストラが始まるらしい。(O)

 

 ジャーナリストの端くれとして言論と理性の究極の勝利を信じてきた。しかしいま、その信念を覆そうとする野蛮が続出している。戦争は言うまでもないが、懸念するのは改革運動内部においても、論理よりパワーが幅を利かしていること。The pen is mightier than the sword(ペンは劔よりも強し)は、いまや死語か。(B)

 

 春の花がいつになく早く咲き、三年間じっとしていたせいか花見の誘いが相次ぐ。リアルな開花情報や詳細な天気予報が、誰でもスマホで確認可能な為、丁度の日程を見極めるのに右往左往。まずは、久々に会うのが最優先と決定。藤も牡丹もツツジも全てが例年より早く、暦と自然の組み合わせの常識が役立たず、年の功の出番なし。(も)

 

 自衛隊の施設改修が進められ、今年度は防衛3文書にもとづいて司令部の地下化まで予算化。日本にミサイルが到達することが前提、戦争前夜の様相。今、国際船航路は外国人船員で運行、日本が戦争状態になったら船員は逃亡、日本に物資は届かないとか。自給率が低い日本、武器購入やミサイル攻撃への備えとかやっている場合か。(こ)

 

 ぼくの大好きな伊藤若冲のコレクター、ジョー・プライスさんが亡くなった。享年93。1953年、ニューヨークの東洋古美術商で見た「葡萄図」に惹かれ購入するが、その時は若冲を知らなかったという。天性の目利きだ。その後日本人の悦子さんと結婚、二人三脚で一大コレクションを築き日本での若冲の再評価に多大な貢献をした。(駿)

 

 ハクビシンが庭に入り込み、弱っているのか木陰から動こうとしない。役所は鳥獣保護管理法でむやみに捕獲できないと業者を紹介するのみ。聞けば4~5万はかかるという。迷惑者にそんなお金を出す道理はない。あれこれ思案していたら危険を察したのかヨタヨタと出て行った。ひとまずホッとしたもののこっちもドキドキと怖さで疲労困憊。(百)

 

 国交省OBによる民間人事介入。半世紀近く前、大蔵省OBが、他のところで1年ほど顧問の肩書で待ってから、私のいた会社の社長になったことがある。たまたま親しく話をする機会があり、「こういう人事は誰が決めるんですか」と聞いたところ、「大蔵OBだよ」との答えだった。OBは公務員ではないという屁理屈。それがいまだに・・・(M)

 

 遅まきながら林芙美子の『放浪記』と『浮雲』を読んだ。『放浪記』は『森まゆみと読む林芙美子「放浪記」』でだが、評伝の名手森まゆみ、貧困と流転の中で詩や小説を書き続けた芙美子の生き様を伝えている。両作品とも成瀬巳喜男監督、主演高峰秀子で映画化され、特に「浮雲」は傑作と評価されているが、原作の方が切実さが迫ってくる。(か)

 

 中野サンプラザが7月2日で閉館するのでそこのレストランで趣味仲間と4年ぶりにランチ会を計画。幹事役が電話したところすでに閉館まで予約で一杯とのこと、残念!! 築50年で老朽化のためというが友人の結婚式やコンサートなど思い出が多い。5年後に 7000人規模のホールができるというが、収容能力として中途半端の感。(京)

 

 今年は江戸開府から420年の節目の年。年初に静岡の久能山東照宮を参拝、各地の家康ゆかりの地巡りに取り組む。NHK大河ドラマのブームとは別に、山岡荘八の『徳川家康』全26巻の2度目読み進め中。ちまたに溢れる家康論では尽くせない、家康の本当の業績の意味をいま深く感じる。(亀)