雨宮処凛の「世直し随想」


 ついに感染

 

 とうとうかかってしまった、新型コロナウイルス。

 最初の違和感は、かすかな喉の痛みだった。それが翌日には微熱を伴ったものになり、「まさか」と思いつつ検査に行くと、陽性。コロナ禍2年半にして初めての感染である。そこから約1週間、処方された解熱鎮痛剤だけで乗り切った。

 何しろ寝込むのは20年ぶり。インフルエンザも未経験という身だ。周りからは「酸素濃度が落ちて肩で息をしながら遺書を書いた」など壮絶な体験を聞いていた上、私にはぜんそくがある。かなり感染対策はしていたつもりだったが、第8波から逃れることはできなかった。

 それにしても、久々に寝込んだ。が、寝込む準備はできていた。今年の夏の第7波の時点で「家にこもれる装備」は整えておいたのだ。スポーツ飲料やゼリー飲料など、「これ、コロナにならなかったらどうすればいいんだ?」ってほどに備蓄していた。

 パルスオキシメーターに至っては、もう2年前に買っていた。

 しかし、いくら万全に準備をしていても想定外は起きる。自宅療養を始めてすぐ、18歳になる飼い猫が体調を崩してしまったのだ。すぐにいつもの点滴が必要だが、コロナ陽性の私が外に出ることはできない。

 そして私は一人暮らし。でも「持つべきものは友」で、友人が猫を病院に連れていってくれた。

 そんなふうに猫ともども人に助けられ、3日ほどで熱は下がった。喉の激しい痛みはしばし続いたが、今のところ後遺症もない。そのことに感謝しつつ、今は早く人間界に復帰したい。