雨宮処凛の「世直し随想」

 

 

    路上のアジア民間外交


 あまみや かりん 作家・活動家。フリーターなどを経て2000年,自伝的エッセイ『生き地獄天国』(太田出版/ちくま文庫)でデビュー。『生きさせろ! 難民化する若者たち』(07年,太田出版/ちくま文庫)で日本ジャーナリスト会議賞受賞。


 世界平和のための10日間を過ごした。それは9月22日から10月1日まで東京・高円寺で開催された「NO LIMIT 2023高円寺番外地」。安保法制が成立した翌年の16年から、国同士が対立を煽っても民間人が仲良くなりまくろうという趣旨のもと開催されている「手作りの祭り」だ。

 言い出しっぺは高円寺の愉快な貧乏人コミュティー「素人の乱」の松本哉氏。3・11後、アジア各地を巡ってきた彼は酒の力で言葉の壁を突破し、山ほど友人を作りまくってきた。16年、彼がそんな友人たちに高円寺への集結を呼びかけたところ、台湾、中国、韓国、香港、インドネシアなどから約200人が押し寄せ、「アジア永久平和デモ」を皮切りに一週間、連日連夜大交流したのだ。

 それに味をしめて翌年には韓国で、その翌年にはインドネシアで開催。コロナでこの数年中断していたものの、久々の開催となったのだ。

 今回、海外から来たのは約100人。初対面の人もいれば、数年ぶりの人もいる中、またしても連日連夜、交流した。言葉は通じないけど、ともにライブで盛り上がり、その後は路上大宴会。みんなお金がないから店なんかには入らない。10日間で約50のイベントが開催され、海外から来た人は入場料無料。それぞれの国で社会的な活動をしている人が多いので、各国のいろんな「裏技」の情報交換もした。

 常に多言語が飛び交う、夢のように楽しかった10日間。来年は台湾で開催予定だ。