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「会計年度職員」の不思議(3)「根拠」は例示だけの奇妙

 

     

    ジャーナリスト 竹信 三恵子


 2020年から始まった1年有期の自治体公務員「会計年度任用職員」は、今年で3年目を迎える。

 1年有期の国の公務員、「期間業務職員」は契約を2回更新して3年働くと、年度末に一斉に雇止めして公募にかけられる。同様の「3年公募」が会計年度職員にも適用されるかの分かれ目が今年だ。

 会計年度職員の3年公募には、実は法的根拠がない。それどころか、総務省のマニュアルには「選考においては公募を行うことが法律上必須であるものではない」と書かれている。

 同時に、「できる限り広く募集を行うことが望ましい」とされ、「例えば、国の期間業務職員については、(中略)再度の任用を行うことができるのは原則2回まで」としている。

 つまり、法律の裏付けはないけど総務省はやってほしいんだよ、国も公募なしの更新は2回までなんだからさ、と例示によって自治体の「忖度(そんたく)」を誘っているわけだ。

 実際、20年の総務省調査でも「毎回公募は行わず再度任用する」という自治体は15%もある。これらは、必要もないのに手間や税金をかけて定期的にガラガラポンをした揚げ句、経験があって使い勝手のいい職員を再度任用、といったばかげたことはしないという、健全な自治体だ。

 一方で、総務省や多くの自治体が「3年公募」を捨てないのは、「期待権」封じのためと見られている。

 何度も労働契約を更新してきた有期社員には今後も契約は更新されるという期待が権利として生まれ、安易にクビにできない。こうした権利を行使させず、楽にクビにできるよう、法律にないことを「忖度」で実行させるというわけだ。

 そんな国と自治体の思惑の合体が、異様な使い捨て雇用を拡大させている。