守屋 真実 「みんなで歌おうよ」

                     


 もりや・まみ ドイツ在住27年。ドイツ語教師、障がい児指導員、広島被ばく2世。父は元千代田火災勤務の守屋和郎氏 

                   


 とうとうコロナに感染してしまった。

 マスクもできず、よだれや鼻水を垂らしている知的障がいの子供たち相手の仕事だから、いつかは感染してしまうだろうと思っていたし、最初一日微熱が出た以外は軽い風邪程度の症状なので思ったほど酷くはない。しかし、公の対応の酷さは思っていた以上で、怒りに発熱しそうなくらいである。

 経過を説明すると、土曜日の午後、保護者から小学生の女児が陽性になったと連絡があった。私はその二日前にこの女児を膝に乗せて一時間半くらい遊んでいたので、瞬時に「これはアウトだな」と思った。取り急ぎ所長が市販の抗原検査キットを購入してきてスタッフ全員が検査をしたところ、みんな陰性だったので保健所からの連絡を待つことにし、一番危ない私は日・月・火曜日と自主的に自宅に籠ることにした。月曜日の夕方、所長からの連絡で別のスタッフ一名が陽性になったことを知った。「これで完全にアウト!」と思ったら、その晩再び所長から連絡があり、誰も濃厚接触者に指定されなかったという。「そんなバカな!」。濃厚接触者に指定されなかったということは、行政による検査を受けられないということである。所長も呆れて、「要は事業所を閉めたら福祉課が困るからだよ」と言っていた。この女児には中学生の兄がいるのだが、彼は無症状なので検査もせず普通に学校に通っているという。これで感染が拡大しないわけがない。不都合な真実には目を閉ざして、表面だけ取り繕う自民党の体質そのものだ。

 私としては白黒はっきりしないのは気持ちが悪いので、翌朝には自費でPCR検査を受けに行こうと思っていたら、その晩発熱した。おかげで発熱外来を保険の範囲内で受診することができ、自己負担三割でも費用は2,890円だった。軽症なので10日間の自宅療養である。陽性になったのはもちろん愉快なことではないが、確認されたことである意味ほっとした。

 腹立たしいのは、感染の可能性が高くても、症状が出るまでは自分でお金を払わなければ検査を受けられないことだ。市販の抗原検査キットは四千円以上する。民間のPCR検査は、安くても一万円ほどだ。生活が苦しい人は黙って耐えろということだ。社会を回すというけれど、こんな蔓延促進政策をとっていたら、今にどの業種も総崩れになるのは目に見えている。まずはすべての人が、いつでも無料で検査を受けられる体制を作るべきだ。こんなことは一昨年から医師や専門家が言及しているのに、政府はこの二年近く何をやって来たのだ。国民の命を何だと思っているのだ。

 私たちエッセンシャルワーカーは、我が身を削って「御国のために」命も投げ出すとでも思っているのか。飲食や旅行業などの補償なき休業要請だって、言い方を変えれば「欲しがりません勝つまでは」の強要だ。結局、この国の政治は戦争中からちっとも変っていない。

 半年後には参院選だ。今度こそ自公政権に引導を渡そう!

 本当に、もう本当に、こんな政治を変えよう!