雨宮処凛の「世直し随想」


 困窮する外国人に公的支援を

 

 1億7324万円。

 この数字は、コロナ禍の2020年4月から今年9月まで、民間の3団体から外国人に支給された額だ。

 3団体とは「移住者と連帯する全国ネットワーク」「北関東医療相談会」「反貧困ネットワーク」。3団体にはコロナ禍で仕事や住まいを失うなど困窮した外国人から、多くのSOSが寄せられてきた。そのような場合、日本国籍であれば生活保護を利用すればいい。が、多くの外国人は公的福祉から排除されている。

 日本において生活保護が「準用」されるのは、永住や定住などの在留資格を持つ人とごく限られている。約6千人いるとされる、難民認定されず「仮放免中」(働くことが禁止されている)の人々や在留資格がない人は、公的セーフティーネットからも除外されているのだ。

 よって民間の支援団体が2億円近い額を寄付金などから支援しているのだが、その68%が生活費。18%がシェルター・家賃のお金。そして14%が医療費だ。

 民間の支援には限界がある。ということで11月2日、3団体主催の「在留資格のない外国人の生存権を求める院内集会と省庁交渉 生きられない! 在留資格のない外国人の声と支援現場からの提言」が衆議院議員会館で開催された。

 稼働年齢層が多い仮放免者の就労を認めることや、全額自己負担になることによって医療から排除されている現状の改善など、切実な声が法務省の役人に届けられた。しかし、ほとんどがゼロ回答で、省庁交渉を続けていくことが確認された。外国人への公的支援は喫緊の課題である。