「働く」はみんなのもの

     

    ジャーナリスト 竹信 三恵子


  

 「会計年度職員」の不思議(6) これでは人が集まらない

 

 会計年度任用職員(会計年度職員)という制度の不思議さは枚挙にいとまがない。少子高齢化で労働力不足が深刻化しているのに、人が応募したくなくなるような「1年有期」を、わざわざ法律まで変えて公言したことは、そのひとつだ。

 昨年、ある自治体の労組関係者から「会計年度職員制度が始まってから非常勤職員への応募が目に見えて減った」と聞いた。

 劣悪雇用がまん延する中で安定した働き方を選びたいと思う人が増えているのに、これに逆行する制度だからではないかという。

 国会の答弁などでは、非正規の増加は生活時間を大切にしたい人が自らパートを選ぶからだと説明されることがある。だが、これは間違いだ。正規の拘束度が高すぎて、生活との両立を求めようとすると不安定な非正規しかない、というのが実情だろう。

 そんな中で公務は、景気に左右されない安定度への期待が強みだった。相談支援業務のように一定の専門性が必要なことから、他のパートより時給が高いものも多い。契約を更新して実質長期で働けることも、応募者の確保につながった。

 それが、「泣いても笑っても1年で終わり」と明言するような制度が導入された。敬遠されて当然だ。

 総務省の「自治体戦略2040構想研究会」は2018年、人口減少によって40年には今の半数の公務員で行政を支える必要があるとして、それでも行政サービスができる体制を構築していくことを提言した。

 だが、会計年度職員を見ていると、「半減に備えて手を打つ」というより、軍備増強へ向け住民サービスを縮小することに目的があるのではと疑いたくなる。

 または公務労働のイメージを落として民間企業に人手を回す、高度な「企業ファースト作戦」か。