斎藤貴男「レジスタンスのすすめ」


 

 

    マイナカードと河野大臣

 

 

 またこの男が全能感に酔いしれ、大放言を吹いている。河野太郎デジタル担当相だ。

 彼が先に、現行の健康保険証を2024年秋に廃止し、〃マイナンバー〃カードに統一する方針を表明したのは周知の通り。事実上のカード携帯義務化だから、各方面からの反発を受けたのは当然だ。

 慌てた岸田首相が「カードのない人には別の制度を用意する」と発言するや、河野氏はネットメディア番組で「総理のおっしゃったのは例外的に、例えばマイナンバーカードをなくしてしまいましたと。その間は10割負担しなきゃいけないかというと、そんなことはないよねと」。

 うんぬん。紛失などへの対応を指しているのだと矮小(わいしょう)化。カードの一本化は、患者の健康データや投薬歴も一目瞭然だから「医療の質も上がってくる」とも言った。

 バカも休み休み言え。健康保険の事務作業は複雑かつ膨大だ。現状で〃マイナンバー〃保険証に対応できる医療機関は全体の2~3割と言われる。大病院なら実施までにはどうにかできるかもしれないが、地方の小さな病院や開業医には負担が大きすぎ、いずれ廃院に追い込まれるケースが続出するだろう。質がどうこう以前の問題だ。

 どだい、カードを持たないと病気になっても診てもらえなくなるぞと迫ってくる手口そのものが汚らしい。チンピラの恐喝ではないか。

 認知症の高齢者はどうやってカードを作るのか。家族がいない場合は。どうせ何も考えてもいるまいが、考えたところで実質的に不可能だ。そんなものはどうでもいい、できない奴、お上に逆らう奴は死んじまえ、という前提でない限り成立し得ないのが、〃マイナ〃保険証なのである。

 こんなのが〃突破力〃だの、近い将来の首相候補だのと持ち上げられているのだから恐れ入る。己を神様だとでも思い込んだ勘違い野郎を、いつまで要職に就け続けるのか。