町田富士彦「オリ・テレ観戦経済学」


 

 

   テレビ観戦代 都民一人10万円余

 

 

  今回のオリンピックの費用は、招致の際、7~8000億円だと言っていた。しかし、それが開催直前には1兆6~7000億円だと言いだした。「7000円で済ますつもりでしたが、1万7000円かかりそうです」というのは「シロアリ詐欺」みたいだ。

 開催にかかる経費というのは、いろいろカウントの仕方があり、あれこれ含めると、1兆7000億円では済まず、「週刊ポスト」の計算では3兆円くらいになるそうだ。この3兆を東京都と国の公費(都民と国民の税金)で賄うわけだ。

 都の負担分と国の負担分をそれぞれ人口で割ると、都民一人当り10万円余り、国民1人当たり1万円余り。都内在住の4人家族だと一家で40数万円の負担だ。そういうことは早く知らせてよと言いたい。知っていたら、もっと早く開催反対を叫ぶ人が増えただろうに・・・。

 1年以上前の話になるが、知人(孫の友人の父親)が五輪の競泳のチケット購入に応募して当たったそうだ。チケット代は10万円ちょっとだったと聞いた。たった1~2分のレースを見るのに10万円か、俺だったら買わないな、と思ったが、テレビを見るだけでも(見なくても)都民はひとり10万円余り負担させられていることになる。こんなことは、週刊誌の指摘を待つまでもなく、組織委員会・JOC・都・国などがきちんと説明するべきだ。

 カネについては、組織委員会・JOCには前科がある。

 1998年長野県で開催された冬季五輪では、招致に関して、約9000万円の使途不明金がある中、関係帳簿が焼却されたとしてうやむやになっている。今回の五輪についても、招致当時、JOCの会長だった竹田恒和氏がIOCの委員たちに賄賂を贈ったとしてフランス司法当局から調べられている。(竹田氏は現上皇のハトコ=またいとこ=にあたる人だそうだ。)フランスの捜査が終わったという話を聞かないから、未だ捜査中と思われる。私の感では、この件は、竹田氏が主導したのではなく、彼は電通の言いなりに動いただけなんだろうと思うが、招致に使われた海外コンサルタント費計9億円余りの支出を裏付ける会計書類の所在が不明になっている。

 誘致に絡む疑惑だけでなく、電通やパソナなどによる中抜きがひどいという疑惑もある。組織委の現役職員が異常な人件費と中抜きを内部告発し、国会(文部科学委員会)でも言及されたが、コロナと五輪礼賛報道によってかき消されて、多くの国民は知らないままにされている。

 公費が使われているのだ。文書はすべて残し、都民・国民に納得がいく形で厳正なチェックが行われるべきだ。