編集委員の「一語一笑」



 高校時代、プルーストの『失われた時を求めて』に挑戦して、学校 図書館から「挑戦する勇気は評価するが、手に負えないと思ったら早く返却してください」と言われた先輩がいた。当時、私は書名すら知らなかった。小説というものの見方を変えたというこの本、果たして死ぬまで読み終えることができるか、最近少し真剣に考えている。(か)

 

 恒例の寄席(官房長官がこれを「よせき」と読み、枚方を「まいかた」と読んだ総理大臣、未曾有「みぞうゆう」の財務大臣、かつては歯舞・色丹が読めない北方担当大臣。日本は本当に大丈夫か。何の話かといえば)の小朝独演会は、コロナ禍を吹き飛ばす久しぶりの大笑い。小朝の篠笛を初めて聞いた。(ま)

 

 猛暑の中、相変わらず散歩が続く。石神井公園への途中にある農園でブルーベリー狩りをした。去年は中止で、直売で購入し食べた。公園からも西武線の駅からも近い場所で、今年は摘み取り出来るのか?通る度に気にして成長を観察したが、完熟した実を自分で取った味は格別だった。農園の人は、このまま感染増加が続くと中止かなと言う。(も)

 

 IOCの商業主義と政権・都知事らのメンツで強行された五輪。これによる感染者や死者が出ても、奴らにとってはただの数字。死者・重症者当人やその家族ひとりひとりの痛みを受け止めようとする感性はゼロ。だから、「こんな感染爆発の中でも、%にすると僅かだ。『安全・安心』に遂行された。」と強弁できるのだろう。(M)

 

 五輪強行開催に見える人間社会の貪瞋痴。利権にまみれた商業主義と「国威発揚」をエスカレートさせて、人類はどこに向かうのか。新型コロナウイルスは良くも悪くも人間社会に気づきの機会を与えてくれているはずではないのか。「アンダーコントロール」「コロナに打ち勝った証」は為政者の虚しい戯言として記録されよう。(亀)

 

 ワクチン接種の夜38.5度。翌日解熱剤を飲み続けたが37度台を上がったり下がったり、翌翌朝やっと平熱に、まだ体調不良。ところが個人でこの報告する所がない。副反応の症状や割合が報道されているけど医師の報告だけ?副反応死者550名は氷山の一角で隠れ死者が多数と指摘されている。さもありなん。(こ)

 

 ワクチンの供給遅延は本当だった。7月中旬にやっと一回目の接種を終えたが二回目の予約が取れなかったのだ。すでに23日先まで一杯で新規の受付は未定だという。6週間の猶予はあるものの大いにあせった。Webで更新される空き情報を日に何度もチェック、やっと目処がついた時には正直ホッと。最初から同時予約に問題あるわけ?(百)

 

 恥ずかしいからあまり言いたくはないのですが、最近困っていることが二つあります。一つは「無観客」がどうしてもうまく発音できず、どうしても「ムキャンキャク」と舌を噛みそうになってしまうことです。二つ目は「カンセンシャ」と言われたら、はて?「感染者」なのか、いや待て「観戦者」じゃないのか、と迷ってしまうことです。(B) 

 

 以下は昭和14年(1939)9月23日付『朝日新聞』朝刊のトップ記事です。「壮烈なる大攻略戦展開 保定城陥落は目前。斬ったり、敵六百 安田部隊長等血達磨」「安田部隊長は刃渡り二尺五寸の日本刀を打ち振り打ち振り当たるを幸い切りまくれば、塹壕は文字通り血河と化し」(O)

 

 清く正しく生きている人ばかりではないが、関わった人のゴタゴタが開催直前まで続くとは。招致前からのオリパラにまつわる諸問題で日本の抱える社会問題が明らかになった。オリパラ開催の功罪の「功」といえるかも。「罪」はコロナが日本だけでなく世界中に拡がってしまうこと。感染者は選手村にも増え続けている。開催中での中止もあり。(京)