斎藤貴男「レジスタンスのすすめ」


 

 

        政治家の差別投稿ひどすぎないか

 

 

 

  中山泰秀防衛副大臣(50)が、日韓外相会談での鄭義溶(チョン・ウイヨン)韓国外相の発言をめぐり、「そろそろ、ええ加減にしーやー」などと、差別丸出しのツイートを投稿していた。鄭氏を「チョン」と表記し、「日本側に正しい歴史認識がなければ(過去の問題を)解決できない」とする言葉を引いて、「はあっ?? 本音は、解決したくないんとちゃうのん??」などといった調子だ。

 彼はまた、イスラエルとパレスチナの戦闘についても、非が後者のみにあるかのように断じた上、「私達の心はイスラエルと共にあります」ともツイート。中東問題のイロハさえわきまえず、双方に自制を求めている日本政府の立場とも相いれない妄言だった。

 どちらも5月中に発信され、少しは騒がれもしたものの、政府は「あくまでも個人の見解」だとして静観。マスコミもろくに追及しないので、たちまちウヤムヤになった。

 この国はいったい何なんだ、と思う。タワゴト自体には今さら驚かない。ネトウヨにかぶれたバカガキの与太以上でも以下でもないからだ。

 問題は、これらが仮にも国家安全保障を司る要職を担う、しかも知命(50歳の異称)を迎えた人間から発せられたという、厳然たる事実だ。論語で言う「五十にして天命を知る」年齢なのである。世襲のボンボン議員でも、ちょっとひどすぎはしないか。

 父親の中山正暉(まさあき)元建設相には何度か取材したことがある。有名なタカ派政治家だが、すでに古希を過ぎていたためかどうか、日本人にありがちな近隣諸国への偏見を強く戒め、自らの言動に筋を通そうとする姿勢が印象的だった。

 その息子が――。

 中山防衛副大臣の存在が、思ったほどには大きな国際問題になっていない状況を、私たちはよくよく考える必要がある。要は日本という国そのものが、もはや相手にもされていない証左ではないのか。