雨宮処凛の「世直し随想」

            困窮者支援の現場で 


 年末年始、生活困窮者支援の現場で相談員をした。

 12月29、30日と1月2日は大久保公園(東京・新宿区)の「年越し支援・コロナ被害相談村」、大みそかは池袋の公園での「臨時相談会」(豊島区)、1月1日と3日はイグナチオ教会(千代田区)で開催された「年越し大人食堂」。

 寄せられた相談は、どれも深刻なものだった。すでに住まいを失い、野宿という人も多く、所持金ゼロの人も数人いた。私が対応した中で最も所持金が多かった人は2万円で、2番目は2千円。しかし、すでに住まいがなく、残金が尽きていても「生活保護だけは嫌だ」と拒否する人も少なくない。

 女性の相談も多く、「コロナ相談村」に訪れた337人のうち、女性は57人。池袋や横浜・寿町の炊き出しも訪れたが、行列の中に以前はなかった女性の姿がちらほらあった。13年前の「年越し派遣村」では505人中、5人しか女性はいなかったことを考えると、女性の貧困の深刻さがよくわかる。

 イグナチオ教会では外国人も多く、最終日に相談に来た72人のうち、29人が外国人。多くが仮放免や短期ビザで就労を禁止されているのに、公的支援の対象にならないという「制度のはざま」に落ちていた。

 非正規の男女、外国人、フリーランス。コロナ禍の中、支援してきた人にはそんな人たちが多くて、なんだか「日本人正社員男性」の雇用を守るために放り出されているようにも見えてくる。

 今年は「公助」がマトモに機能しますように。そう祈ることしかできない。

 

 

 

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