政権交代へ 野党と市民の共闘を

        

  中野晃一 上智大学教授(市民連合呼びかけ人)に聞く 


 2021年は総選挙の年。「安倍ー菅」と長く続く自公政権のままでいいのかが問われます。国民本位の新たな政治をつくる上で何が必要か、市民連合(安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合)呼びかけ人の中野晃一上智大学教授に話を聞きました。

 

 行き詰まる菅政権/支持率の低下は当然

 

 菅政権は発足4カ月にして、早くも行き詰まっています。新型コロナウイルス感染への対応を見ても、後手後手で、まともな説明や発信ができません。それを有権者に見透かされ、各種世論調査での支持率急落につながりました。

 政権を投げ出した安倍氏の後釜に菅氏が据えられたのは、官房長官として数々の疑惑にふたをし、国民や野党の疑問・質問を門前払いしてきた手法が買われただけ。首相の資質があったわけではありません。

 世界では今、リーダーのコミュニケーション力が問われています。国会での説明や必要な会見から逃げてばかりいる菅首相には、それが全く期待できません。

 自民党内で「ポスト菅」が議論され始めるような状況にさえなっています。

 

 本気で野党共闘を/大きい国民の期待

 

 内閣支持率は低下していますが、野党への支持率が上昇しているわけではありません。今年は総選挙があります。野党共闘が菅政権にうんざりしている人々の選択肢になれるかどうかが大きな課題です。

 時間はありません。現在の閉塞(へいそく)感を打破すべく、野党共闘が存在感ある選択肢になるよう政策面と候補者調整の準備を急いでほしい。

 政策については、例えば消費税の減税問題。減税率など細部にこだわるのではなく、不公平税制の是正と社会保障拡充という所得再配分機能を強化する枠組みの中に位置付けて考えるべきでしょう。

 憲法論議への対応でも野党は足並みをそろえてほしい。新型コロナ感染拡大の今、浮世離れした憲法論議をしている余裕はないはず。その上で、有権者の期待に本気で応える政策が必要です。

 

 無責任政治と決別を/政治への絶望広げるな

 

 私が今、恐れているのは有権者の「静かな絶望」が広がり、定着してしまうことです。

 仮に首相の顔が代わったとしても、これまでの「無責任でタガの外れた政治」が横行し、固定化することが怖い。首相の首のすげ替えでは何も解決しません。

 民主党が下野した2012年衆院選の後、5回の国政選挙がありました。参院選では1人区で野党共闘が進められ、改憲派に3分の2の議席を取らせないことに成功しました。野党共闘の威力は証明済みです。

 問題は、衆院選の小選挙区で効果的な野党共闘を実現できるかどうかです。前回の17年には明確な形をつくれませんでした。今度こそ、大きな形で小選挙区の野党共闘を実現し、政権を代えなければなりません。

 

 

 

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