編集委員の「一語一笑」



 桐野夏生の小説「日没」(岩波書店)。女性作家が総務省文化文芸倫理向上委員会なるものから召喚され、茨城県の海崖に聳える収容所に幽閉される話だ。「罪状」は作品の性描写にあるらしいが理由も示されない。同所には多数の作家達が収容されているが孤立。架空の物語なのにあまりにもリアリティに富むは何故?(B)

 

 ユートピアの反対がディストピア。徹底的に管理された自由のない世界、人間の暴力性がむき出しになった世界、指導者が国民を洗脳し、反抗 する人間を排除する世界。体制の如何を問わず、ディストピアが現実 となっている現在、ジョージ・オーウェル、オルダス・ハクスリー、ウィリアム・ゴールデンらの作品が読み直され、桐野夏生の近著『日没』が「一線を超えた恐ろしい作品」と評価されている。(か)

 

  新宿西口昼、街宣のあと、「思い出横丁」を歩いてみた。カウンター10席ぐらいの店が、ハーモニカのように並び、アクリル板など席を区切ってはいない。混めば密密だろう。休業の張り紙の店が数軒、営業時間は20時までとあった。Openという看板も出ているが客はほとんどいない。キビシイナア。(O)

 

 新聞の「首相動静」欄。ほぼ毎日「ホテル・オオクラ内のレストラン『オーキッド』か、ザ・キャピトルホテル東急内のレストラン『ORIGAMI』にて○○と朝食」とあったが、緊急事態宣言後はそれが消えた。しばらくして、原稿の読み間違え多発の原因は朝会食自粛でストレスがたまって…との報道。そんなにヤワなの?(M)

 

 子どものころ、夏休みは家族旅行に行ったけれどお正月になると父は門扉や雨樋のペンキ塗り修理を始める。母は「お正月早々から…止めてよ!」と嫌がったが、子どもだった私は屋根にのぼったり、玄関先の作業を手伝うのが楽しかった。様変わりしたお正月で思い出したこと。(こ)

 

 若いころから安倍氏に仕え忠誠心が厚いといわれた配川筆頭秘書。どんなことでも安倍氏に報告していたし、安倍氏に迷惑かけてはいけないという思いが人一倍強かったという地元の評判。配川氏は61歳にして人生を棒に振ったのか?いえいえご主人の身代わりの代償にその後の生活は保障される約束でしょう。誰かドラマにしてほしい、時代劇として。(京)

 

 いわゆるヌーベルバーグのはしりで我々が若いころ夢中になった仏蘭西の鬼才ジャンリュックゴダールの「勝手にしやがれ」(1959年ジャンポールベルモンドとジーンセバーグ)をBSで見たが、奔放な若者の無軌道が目立つだけでどこがいいのかさっぱりわからない。自分が年取ったということか。(ま)

 

 ポチが16才の誕生日を目前に天国へ行ってしまった。ラブラドールなのにポチはおかしいと言われながら近所の人気者で、留守がちの我が家をわざわざ散歩コースに組み入れて毎日見まわりにも来てくれた。まだおやつは残ってるよ。お疲れさま、今までありがとう。合掌!(百)

 

 先日、自宅療養を余儀なくされた一人暮らしの患者さんが保健所からの連絡を待っている間に亡くなった。県知事は、会見で人手不足と開き直っていた。人手不足なら、失業した接客業の人達を県の臨時職員にして聞き取り調査や保健所職員の補助業務にあたってもらえれば人手不足解消と失業対策になる良いアイデアだと思うのですが。(雪)  

 

 緊急事態宣言で年初の友人との温泉は延期し、解除を待つ事に。都区内で唯一『成人祝賀のつどい』を開催した杉並では、散歩道にある小さな公園等で仲間と集う晴れ着姿の若者に沢山会った。蝋梅始め水仙、梅、木瓜が咲き出し、メジロが枝に。楽しみが増えて散歩が続く。(も)