「働く」はみんなのもの

 

    シフト労働の闇(2)

  懸命のセーフティネット補修

 

    ジャーナリスト 竹信 三恵子


 シフト制は、会社の都合のいい時間帯に不定期に労働時間をはめ込む働き方だ。コロナ禍の拡大で客足が減るにつれ、シフト日数は減らされ、昨年4月の緊急事態宣言では店そのものが閉じて「シフトがゼロ」という事態が相次いだ。

 実態を見るならば、これは「休業」であり、コロナ禍による休業手当が出るはずだ。だが、これが支給されないという悲鳴がシフト労働者から相次いだ。

 コロナ禍で厚労省は、「雇用調整助成金(雇調金)」を生かした休業手当の支給を企業に呼びかけてきた。労働基準法26条は、使用者の責任で休業する場合、平均賃金の6割以上の休業手当を義務付ける。これを、経営悪化でも解雇せず休業や教育訓練、出向などでしのぐ企業に対する雇調金で支える構想だ。

 だが、雇調金の財源は雇用保険で、対象は加入者が原則だ。非正規でも、週20時間以上働くなどの要件を満たしていれば対象になるが、シフト契約では20時間未満に抑えられていることが少なくない。使用者側の保険料負担逃れだ。

 そこで厚労省は、雇調金を受ける際の雇用保険を巡る要件を次々と緩和し、雇用保険に加入していない労働者にも「緊急雇用安定助成金」で対応することにした。

 ところが次は「会社が申請してくれない」という訴えが相次ぐ。休業手当は会社の休業責任についてのものだから申請者は会社だ。それを渋る会社が多いことが支給の壁になった。

 ここで従業員の個人申請ができる「新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金」が登場する。

 コロナ禍の大波に、懸命の雇用セーフティーネットの補修が続く。だが、それでも休業手当が届かないシフト労働者は多数いた。シフトの闇がそこにあった。