昭和サラリーマンの追憶

 

 

           「少額短期」面白いかも

      

 

           前田 功


  筆者は定年近くで損保業界を離れ全く別の業界へ移ったが、5~10歳くらい若い後輩たちで定年後、「○○少短」に移っている者が何人もいる。取引先が設立した「少短」会社に引き抜かれたり、先に入った同僚から誘われたりしたようだ。「少短」って何だろうと気にはなっていたのだが、長年そのままになっていた。このところ「〇〇少短」というのがテレビCMでやたら目に付くようになり、「少短」について調べてみた。

 筆者が現役のころには、保険は保険会社しか扱えず、損保業界は20社体制などと言われ、生保も同じくらいの会社しかなかった。(外国保険会社もあったが、目立たなかった。)

 ただ、JA共済・全労災・都道府県共済・CO・OP共済などが、「共済」という名前で保険と同じことをやっていたが、これら大手の共済は、農水省・厚労省・総務省などの認可を受け、金融庁管轄の保険業法ではないそれぞれの根拠法に基づいて運営されていたし、現在もそのままだ。「少額短期保険業」は、2006年4月施行の保険業法の改正で新たな業態として規定された。その背景は、根拠法を持たない「無認可共済」団体が増加する中で、一部の事業者による不適切な運営が社会問題となり、「契約者保護」の観点を中心に保険業法による規制が求められたことにあった。

 保険会社との違いは、文字通り「少ない、短い」である。保険金の上限は、大まかに言えば、死亡保険300万円、損害保険1000万円。保険期間も生命・医療保険は1年、損保は2年。資本金は1000万円以上(保険会社は10億円以上)。保険会社は金融庁から免許を受けなければならないが、「少短」は登録だけでよい。「少短」業者に対する保険業法の規制は、保険会社に対する規制と比べると緩やかである。

 その市場規模は、次のとおり 

 企業規模が小さく意思決定が迅速にできるのが利点で、ニーズに素早く適応、時流に沿った商品が開発できる。実験・トライアルの場として大手保険会社も活用しているようだ。 

 協会HP に記載されている110社の社名一覧の中の一つ、マイシュアランス社(損害保険ジャパン傘下)のHPを見ると、次のような記載があった。

 

 デジタルの力で保険をもっとわかりやすくシンプルに、簡単なものにできないか。

 身近なちょっとした不安やリスクも、保険で対応できないか。

 保険金の請求を、よりすばやく、よりスマートにできないか。

 今までの保険の「できない」を「できる」にするために、MYSURANCEは、新しい保険の体験価値を創造していきます。 

 

 

 ・・これが能書きどおりなら、後輩たちは、損保卒業後、面白い仕事をしているんだな、と思う。