雨宮処凛の「世直し随想」

            ネットでの中傷許さない


 6月9日、「SNSにおける労働運動・社会運動に対するヘイト攻撃に対抗するネットワーク(通称SNSOS)」を立ち上げ、記者会見をした。発起人は日本労働弁護団の棗一郎闘争本部長やジャーナリストの竹信三恵子氏ら。賛同人には前日に漫画家らを名誉棄損で訴えたジャーナリストの伊藤詩織氏や、「#KuToo」運動を提起した俳優の石川優美氏、思想家の内田樹氏らが並ぶ。

 運動に取り組む人々に対し、ネット上での誹謗(ひぼう)中傷や悪意ある攻撃が長年なされてきた。特定組合を反社会勢力であるかのようなレッテル貼りや、弁護士に対する不当な大量懲戒請求などもあった。女性に対する性差別的な中傷は枚挙にいとまがない。

 私自身も「反日」「日本から出ていけ」という言葉を日常的に浴びるほか、悪意ある言葉の切り取りをされ、非難され続けるなどの被害を受けてきた。

 「気にするな」という人もいるが、連日連夜やられていると確実に心をえぐられる。「もうこの仕事をやめるしかないのか」「日本にいちゃいけないのかもしれない」と本気で追い詰められたことも一度や二度ではない。一人で悩んでいた時、この取り組みを聞いて参加した。みんなが悩んでいることを知り、「一人じゃない」と救われた。

 運動を始めようと相談をしていた矢先、TV番組「テラスハウス」に出演していたプロレスラーの木村花さんが亡くなり、会の立ち上げを早めた。政府にこの日提出した要請書では、発信者を特定しやすくすることなどを求めている。注目してほしい。