雨宮処凛の「世直し随想」

                危機への対応を一刻も早く


 「これ、ずっと続くよね」

 ある支援者の言葉に背筋が寒くなった。ゴールデンウイーク中のことだ。

 新型コロナウイルス感染拡大により、3月ごろから生活困窮者支援団体には緊急度の高いSOSが寄せられている。「家賃を払えず家を追い出されそう」「残金が1万円しかない」「ネットカフェが閉まり行き場がない。所持金は数百円」など崖っぷちの声だ。そんなSOSを受け、支援者たちは連日、困っている人のもとに駆けつけ、緊急宿泊費や生活費を渡し、公的な制度につなげるといった支援をしている。

 私もそんな現場で幾度か対応に当たったのだが、その中には女性もいた。数年前から家がなく、ネットカフェを転々としてきたという女性は大きな荷物を抱えてやってきた。涙ながらにこれまでのいきさつを語る姿を見て、格差と貧困が拡大することを放置してきたツケが、コロナ禍で最悪の形で露呈したのだと震える思いがした。その現場である支援者が、ポツリと冒頭の言葉を漏らした。

 緊急事態宣言は延長され、終息の兆しはまったく見えない。12年前の年越し派遣村は「年末年始」の支援だった。だけど今回の危機は年単位で続く恐れがある。この調子で緊急出動を続けるなんて、無理だ。すでに民間ボランティアができるキャパを、3月からずっと超え続けている。

 4月に開催された「いのちと暮らしを守る」電話相談には、42万件のアクセスがあった。補償がないまま自粛を強いられる人々からは、「もう限界」という声が上がっている。一刻も早い対応を、国に求めたい。