雨宮処凛の「世直し随想」

                コロナとホームレス


 新型コロナウイルス感染拡大が止まらない。それによる経済危機で多くの人が不安のただ中にいる。外出自粛要請の中、飲食店などは悲鳴を上げ、ライブハウスやスポーツジムなどはひん死の状態だというのに、給付金や休業補償は微々たるもの。本当にもらえるのか、いつ頃になるのか、この原稿を書いている時点でははっきりしない。

 4月初め、ホームレスを支援する人々によって都庁前で開催された相談会に足を運ぶと、100人以上が無料の弁当をもらうために並んでいた。感染拡大を受けてほかの炊き出しが中止になる中、ここを訪れる人は増えているという。
 見慣れない顔も増えているそうで、普段「生活相談を希望する人」は数人ほどだそうだが、この日は10人以上が希望していた。
 地方から出てきたものの新型コロナによって仕事がまったくなくなったという若い人、「生活保護は受けたくない」と野宿生活をしてきたが、コロナ不況で「(行列の)並び代行」の仕事がなくなって相談してきた人などがいるという。
 東京の場合、ホームレス状態の人が生活保護を利用すると、まず施設に入れられることが多い。その施設の多くは相部屋や大部屋。ある意味、「3密」の条件がそろっているような場所だ。「路上の方がまだマシ」という声も聞いた。
 緊急事態宣言が出される前日、小池都知事は住まいをなくした人のため一時的な住宅を確保すると発表した。が、都内だけでネットカフェ難民は4千人。必要な人が支援から漏れないように、チェックしていくつもりだ。