斎藤貴男「レジスタンスのすすめ」


 

 

          大音量の日米国歌は騒音

 沖縄の米軍普天間基地(宜野湾市)で、連日の午前8時に米国歌「星条旗」と日本の「君が代」、夕方6時にラッパのファンファーレが大音響で流されている。音量は70~80デシベル(地下鉄の車内並み)だが、90デシベル(騒々しい工場内程度)を超える日もあるという。住民は会話さえままならない。

 問題化したのは1月28日。沖縄防衛局に苦情が殺到し、宜野湾市議会の3月定例会で取り上げられた。宜野湾市長が普天間基地の司令官や河野太郎防衛相らに音量の調整を重ねて要望しているが、彼らは聞く耳を持っていない。

 騒音公害はなおも続いている。3月22日付の『沖縄タイムス』に、69歳の女性から、こんな投書が載った。毎朝毎朝「君が代」を聞かされて、「天皇のために死ねますか」「天皇のために、子や孫の命を差し出せますか」と問われている気持にさせられる、と。「毎朝毎朝聞きたくない。(中略)戦争は二度と嫌だ」。

 早い段階から米軍は「国歌は従来から流していた。スピーカーシステムを新しくしたので適度な音量を模索中」である旨を回答していた。にもかかわらず、いつまで経っても改められないのはなぜか。

 音量が騒音レベルに上がった10日前の1月18日、トランプ大統領が60年目を迎えた現行日米安保条約を「祝福する声明」を出している。日本の貢献拡大を確信するとの内容で、安倍晋三首相も翌19日に記念式典で、これを受けて「日米安保条約はいつの時代にもまして不滅の柱。世界の平和を守り、繁栄を保障する不動の柱だ」と呼応した。

 日本はまがりなりにも戦後75年間、非戦の旗を掲げ続けてきているが、米国はまるで違う。一体になってはならない相手なのだ。普天間基地の「君が代」は、天皇というよりも米国のために「死ね」「子や孫の命を差し出せ」と、私たちに命じているのかもしれない。