保険募集・イマムカシ(その2)

                    鈴木 健


                      地域の人間関係と一体化した募集                                      


 いまは生損保兼業が当たり前の保険会社と代理店だが、私はやはり損保が性に合っている。それは契約のやり方、リスクのイメージが可視化されてるからだ。リアリティがある。話が具体的で真剣なやり取りになる。その空気がなんともいえず好きなのだ。ほんとに、世のため人のために保険を募集しているという実感に浸れる。
 

 昭和30年代の日動外勤で自動車保険を取り扱う契約係社員はわずか数人しかいなかった。

 当時はサービスセンターもなく、契約者に代わって示談代行を行い、休日・夜間を問わず事故の当事者を訪問した。自動車保険が主力の代理店は、その経費を契約者に請求したなどという話もあった。いまから思えばとんでもない話だが、それほど、顧客のすべての面倒を見るのが代理店であり、募集人であったのだ。

 濃密な人間関係と一体となった仕事であり、地域社会の「ワン・チーム」構成に寄与していたといっても過言ではない。(写真は契約者に説明する筆者)