昭和サラリーマンの追憶


   テレワークに思う…昔はよかった

 

           前田 功

 

 新型コロナで「テレワーク」とかが流行っているそうだ。昭和&平成前期の勤め人である小生には、会社に行かずに仕事をするなんてイメージが湧かない。

 われわれの頃は、朝、満員電車に乗って、会社に着いたら、まず自分の城であるデスクに着く。おいしいお茶を入れることに生きがいを感じている女子社員が入れてくれたお茶を一服しつつ、しばらく世間話をしていると、始業のチャイムが鳴る。脇机や平引き出しから、昨日からやりかけの書類を机の上に出していると、デスクの上の電話(固定電話)が鳴る。それが仕事の始まりだ。

 机の引き出しの中には、やりかけの書類だけでなく、自分が担当している仕事関連のファイルがどっさり入っているが、読みかけの小説や週刊誌、お菓子なども入っている。(たまには、ウイスキーのポケット瓶が入っていることもあった。)

 コロナ以前から、「フリーアドレス」とか言って、個人専用の机をなくし、ロッカーから必要な書類などを持って日々違う机で仕事をさせる会社もあったようだ。

 数年前、ある外資系会社の総務担当部長から聞いた話だが、コスト削減のために社員数に対する机や椅子の数が最近の総務部門の関心ごとになっているということだった。その時は、「総務部門は目標を数値化し難いから、そんなことを目標にするのか。」と思ったのだが、コロナ後の職場の変化はおそらく、われわれ昭和世代には想像がつかないところに行っているのだろう。

 職場のうるおいがますます失われていくように思う。残念だ。