斎藤貴男「レジスタンスのすすめ」


 

 

       4コマ漫画にも制約が…

 ブロック紙3社連合(北海道、中日・東京、西日本)をはじめとする全国の新聞10紙で連載中の4コマ漫画『ねぇ、ぴよちゃん』が、大変な人気だ。作者は『ママはぽよぽよザウルスがお好き』などの子育てコミックで知られる青沼貴子さん。私も楽しく読ませてもらっているのだが、少し気になることもある。

 小学3年生の主人公と両親、中2の兄、飼い猫の又吉(またきち)らが織りなす「ほのぼのホームコメディー」だ。ところが、最近は猫しか登場しない話が増えてきた。ネコ話が面白くないわけではないが、ドジでズボラで、いつもダイエットに失敗しているすみれさん(ぴよのおかあさん)のエピソードをもっと読みたい読者としては、かなり不満なのである。

 もしかしたら、ジェンダーバイアスの問題ではないか。すなわち性別によって社会的・文化的役割の固定概念を持つこと。「女性(男性)とはこうあるべき」というイメージを増幅させかねない表現が、このところ激しい批判にさらされている現実を連想せずにはいられなかった。

 『ぴよちゃん』のような、しかもわずかなコマ数の作品では、キャラクターの役割を分担させざるを得ない。ママは家事、パパは会社…。

 企画段階から関わっている担当編集者が「新聞は書籍以上に、多様な読者への配慮とコンプライアンスが求められるので、そういう意味での制約はあります」と語っていたのを思い出す。具体的には「身体的な特徴をあげつらうようなセリフ」や色の塗り漏れ、手書き文字の漢字のトメハネが挙げられて(オリコンニュース「アニメ&ゲーム2月12日配信」)、それだけなら当然だとも思えるが、ポリティカルコレクトネス(政治的正しさ)が絶対視されがちな現代社会にあって、表現者はどこまで表現者たり得るのだろうか。

 不安でならなくなってきた。