斎藤貴男「レジスタンスのすすめ」


 

 

          「イラン敵視」と改憲

 トランプ大統領はイラン国内の複数箇所を攻撃する米軍の作戦を了承した。6月20日夜。同日午前に無人偵察機がホルムズ海峡上空で撃墜されたことに対する報復措置だったが――

 攻撃は開始予定の10分前に中止された。想定される死亡者が150人と聞いたトランプ氏が、「無人偵察機の損害と釣り合いが取れない」と判断したためという。

 だが安心は到底できない。米国とイランとの一触即発の緊張関係はなお続いている。

 攻撃を中止してからも、トランプ氏は最高指導者ハネメイ師らに対する制裁を発表。さらには「イランが米国を少しでも攻撃すれば、偉大かつ圧倒的な力で迎え撃つ。一部地域では、圧倒的というのは消し去ることを意味する」などとツイートしてみせた。

 

 戦争はあり得る。米国にとっては珍しくもない日常かもしれないが、その場合、「同盟国」たる日本はどうなる?

 無人偵察機撃墜の1週間前には、やはりホルムズ海峡の沖で三菱ガス化学のタンカーが砲撃を受けている。相手の正体は不明。ただ、トランプ氏は「イランだ」と断言した。安倍政権が独自の立場を採ることができるとは考えにくい。

 

 安倍首相はさる5月末、来日したトランプ氏と海上自衛隊横須賀基地で、事実上の空母化が計画されている護衛艦「かが」に乗艦し、海自と米海軍に「日米同盟のさらなる強化に、日本はしっかりとその役割を果たしていく」と訓示した。トランプ氏はその後、米軍横須賀基地に移動して、強襲揚陸艦「ワスプ」上で米国民向けに演説している。「ワスプ」が一般にホワイト・アングロサクソン・プロテスタントの略であり、「支配者としての白人」を意味している現実は、世界中の常識だ。

 

 目下の状況は憲法改正論議に利用される可能性がある。そのまま米・イ戦争に参戦させられる恐れもなしとしない。