そんぽ随感録 社会は政権の鏡


                                                    松久 染緒


 容疑者が逮捕されても黙秘する・否認する。いじめによる自殺があっても因果関係を認めない。虐待を受けた子供が助けを求めても警察も役所も対応せず、その親に情報を開示する。中高年無職者の犯罪、高齢者の無謀運転、割込み・あおり運転、セクハラ、パワハラ、モラルハラスメントにヘイトスピーチ、差別発言。さらに三菱自、神戸製鋼、旭化成建材、日産自、東洋ゴム、スバル、クボタ、IHIなど一流企業のデータ改ざん・手抜き杜撰工事である。

社会は現政権を映す鏡で、さまざまな現象はすべてそのやりかたをなぞっているのだ。なぜならトップからして、うそを言う、質問に答えない、ごまかす、証拠を改ざんする、データを消去する、責任を認めない、国民が忘れるまでとぼけて無視するといった具合だから。

 

「アンダーコントロール」とごまかし、わいろ疑惑で招致したオリンピック。あれほど甚大な被害を生じても、地震や津波の危険を何度指摘されても原発再稼働を推進する。

「共謀罪」法、特定秘密保護法、安全保障関連法を強行する。自衛隊の日報隠し、森友・加計問題の公文書改ざん・虚偽答弁。 

 

自ら諮問した審議会報告内容が選挙に不利とみると、受け取らずなかったものとする。首相問責決議案に対しては、「愚か者・恥を知れ」と国会の品位も論議の府の意味も知らないゴマすり議員の野党批判。わずか3年間の民主党の政策失敗をことさらに取り上げて「悪夢」という。

「丁寧に、寄り添って」はいうだけ、肝心の年金不安にはこたえず、財政再建、拉致・北方領土問題には手も付けられず、民意を無視した沖縄の基地建設や、イージスアショア設置を強行する。一方、植民地並みの日米地位協定は遵守し、戦争ができる憲法改定にまい進する。選挙に勝てばなんでもあり。 

 

政治家が社会のお手本、品格ある言動などどこ吹く風、これでは国民代表の規範意識を失っている。制度の劣化は修復可能だが、人の劣化、政治家の規範意識の崩壊は国家の崩壊につながる。国民代表にふさわしい正直で品格ある人間的な政権はいずこへ。