「AIG損保転勤廃止」を考える(その3)

前田功レポート


 

          社員のニーズにあわない転勤制度

 

  AIG損保は、この転勤廃止について、2・3年年前から検討を行っており、そのために社員の意向を把握するためのアンケートを行っている。今年の2月12日、政府の規制改革推進会議の保育・雇用ワーキンググループの会議に呼ばれて、「勤務地を指定した働き方に関するヒアリング」をされている。 

 その時提示されたパワーポイントの資料を見ると、

 

という結果だったそうだ。

 

 これを受けてか、同社は

 

 

としている。

 

 私が注目したいのは、単に転勤がないというのではなく、会社の命令による転勤がないということだ。 

 転勤について損保OBの話を聞くと、ほとんどの人が「いい経験だった」という。いろいろ支障もあったはずだ。転勤拒否を公言することによって出世を諦め会社とは別のところに軸足を置いた人生を送ってきた人間には理解しにくいが、かなり肯定的だ。会社に人生のすべてを預け、転勤は当然というシステムの中で永く過ごしてきたからだろうか。

 

 転勤によっていろいろ経験したい人は、転勤すればいい。 

 個人の生活、人生が大きく乱されるにもかかわらず、会社の命令だから受け入れなければならないというのはもうやめにしたい。