政権の報道規制で損保9条の会など記者会見

 

                      

 首相官邸が、特定の東京新聞記者を念頭においた「問題意識の共有」を内閣記者会申し入れ、報道規制をさらに強めようとしていることに対し各方面から抗議の声があがっている。
 商社九条の会・損保9条の会・銀行九条の会・海運九条の会・出版OB九条の会は、共同で官邸報道局長への申し入れと内閣記者クラブへの要望を行うとともに、3月12日、共同記者会見を開いた。

 

 


知る権利のためにたたかおう


 共同記者会見では冒頭に、商社九条の会仲内節子さんから、記者会見を開いた動機、開くまでの経緯などについて報告がありました。
 仲内さんは「攻撃を受けている記者が、勇気ある活動をしている女性であることにも、同性としてとりわけ強い思いがある」と切り出し「東京新聞の声明や、ジャーナリスト会議の声明等が発信されているが、国民の知る権利が侵されている現状は許せないと危機的であり、さまざまな人たちが声を上げ意思表示をする必要があると考え、他産業の九条の会にも声かけをしたが、急だったため、とりあえずは5団体での合同行動となった」と説明しました。
 


 そして、内閣記者クラブの所在を調べてみたら、官邸の中にあることがわかり、官邸に電話してつないでもらったこと、面談はかなわず、結局要望書はFAXで送ったこと、その文書は記者クラブ内の告知板に貼られていることなどを報告しました。
 官邸への申し入れについては「官邸報道室に電話をしたら女性が対応、面談は断られた上、FAX番号も教えてもらえず、女性の名前も最後まで答えてもらえなかった。今の官邸の在り方を象徴していると痛感した」と語りました。
 


 記者会見に出席した記者からは、「申し入れをするのは今回が初めてだと聞いたが、秘密保護法や安保法制等いろいろ問題があったが、この問題はそれだけ重要か」との質問がありました。
 それに対して「報道規制が厳しくなり知る権利が奪われていることは重要な問題。しかし、国民の側の声の上げ方が少ないのではないか。そういう意味で、商社、銀行、損保等、政権に近いと思われている大企業の中から声を上げていくことはとても大切だと思っている」と回答していました。。
 


 会場からは「内閣記者会が官邸の中にあるということを知って驚いた。なぜ独立していないのか?取り込まれているのではないか」「日本のジャーナリズムの自由度は世界で50~60位。政界記者はいるけど、政治記者はいない、と言われている。心あるジャーナリストと市民がいっしょに変えていくしかないのでは」等の意見が出されました。
 「損保9条の会」からは和田典彦さん、戸塚史郎さんと大石京子が参加しました。

(レポート・大石京子)

 

 記者会への申し入れの要旨は次の通りです。(官邸への申し入れは省略) 

 

  内閣記者会御中
 
1、2018年12月28日付、上村秀紀・官邸報道局長名の撤回を当局に要望してください。
2、この不当な報道機関への自由侵害に対して、抗議やアピールをお願いします。
3、今後も、人びとの知る権利を守り、平和、人権をまもる報道を要望します。