損保経営者がけっしてすすめない本


 

        人に本あり

       

                岡本敏則

 


 この欄も紙面としては最終回を迎えたので、長年にわたる本とのつきあいを述べてみます。読書するには、字を知らなければなりません。幼児の頃、「あいうえお」を書いた積み木を与えると自然に字を覚えたと、母親は言っていました(賢い子だったんだ!)。
 小学時代の愛読書は「少年朝日年鑑」。中学になると図書委員を立候補。図書館に入り浸り、3年になると委員長をやっていました。カウンターの中が好きだった。
 高校になると、完全に図書館を牛耳って、選書もやっていました。よく読んだのが日本の古典「落窪物語」「平家物語」などで、「源氏物語」は現代語訳し(岡本源氏!)、原稿は今もあります。英語ではペリカンブックスのヘミングウェイ「A Farewell to Arms」を読了したときの達成感は忘れません。一番語学力があった時代!
 大学時代は1割引きの生協で購入。図書館は、ビラの「ガリきり」専門。読んだのはほとんど文学書と岩波新書。院生主体の「同人誌」にも加入。院生は評論や論文が主で、創作は私だけ。詩や、短編を書きなぐっていました。
 社会人になると、給料のほとんどは呑み代と本代に消えました。漱石、子規、田中正造、長谷川四郎、金子光晴、石川三四郎、魯迅などの個人全集や岩波講座の、「日本歴史」「世界歴史」「文学」などを買っていました。おっと「マルエン全集」を忘れてはいけません。
 40代でハードボイルドに目覚め、チャンドラーやハメット、パーカー、ローレンス・ブロックなどを乱読。今は、アベ内閣に危機感を持ち戦時中の歴史、旧帝国陸海軍、満州国、朝鮮、天皇制、戦後日本を自分なりに検証しています。終活として本の処分をどうするのかという問題はありますが先送りしています。写真は東京芸大での漱石展で買ったフィギア。長い間お付き合いありがとうございました。WEBもよろしく。