望月衣塑子記者存分に語る

 

                      

 菅官房長官への鋭い質問攻めで一躍時の人となった望月衣塑子さん(東京新聞記者)が、伊藤塾東京渋谷校で縦横に語った。明快で歯切れよく、ユーモアたっぷりの語り口にすっかり魅了された。以下は本紙が単独取材した講演要旨である。

                           取材・丸 楠広/写真・伴 啓吾

 


だから、わたしは質問をやめない


  安倍首相の答弁は最近「ご飯論法」とか「信号機論法」と揶揄される。およそ国民にまともに説明しようという姿勢すらなく、徹頭徹尾ウソと疑惑隠しに終始する。
 官邸記者会見は民主党政権時代に年間26回開かれたのに、2017年には4回だけ。毎回5問で計20問しか受け付けない。司会から指名されない限

り質問できない。番記者でさえ蚊帳の外だ。
  国民に事実を伝えない、ウソをつく、改竄するということが常態化し、直近でも数々の問題が噴出している。辺野古のサンゴ礁移植に関する誤認発言、辺野古埋立使用赤土土砂の違法性、沖縄県内5市の県民投票拒否問題、人権侵害の技能実習制度、改正水道法の問題等々、枚挙に暇がない。

 2004年、日歯連の一連の闇献金疑惑をスクープし、裏献金リストを入手した。当時は24時間フル稼働でハイヤーを使い過ぎ、整理部へ配置替えされたこともある。
  記者会見の発表は当局に都合の良い事実だけで、不都合な事実は徹底的に隠そうとする。
 取材のコツは、キーマンを見つけ、何度も聞くこと。ウソをつかれるのは当たり前と思い、聞くべきことを聞いていくうちに、だんだんとウソと真実の見分けがつくようになってくる。

 武器輸出をテーマに取材した時、防衛企業や防衛官僚から妨害やプレッシャーにさらされたが、めげずに取材を続けていくと次第に防衛企業側の本音が見えてきた。
 米国追随で軍事大国化していく現政権の動向を国民に広く伝えて告発していく必要性を痛感した。

 若者中心に新聞離れが進んでいる。一方でネットでリアルタイムに記者の顔や質問姿勢がアップされ、アクセスしやすくなっている。読者、視聴者、大手紙幹部など多方面から激励のメッセージも寄せられ、ジャーナリストとしてのやりがいと使命感を感じる。
  五感をフルに活用し、権力と対峙する位置にいるか、世界・日本の人々にとってベストはなにか、力の弱い多くの人達が幸せになれることは何かという観点を大切にしていきたい。