損保経営者がけっしてすすめない本


 

        服部龍二『歴史認識』(岩波新書)

       大沼保昭『歴史認識とは何か』(中公新書)

                    岡本敏則

 


 

 東アジアは、日韓(1965年日韓条約締結)、日中(1972年国交正常化)では歴史認識と領土問題が、特に日韓では徴用工、慰安婦問題がいまも大きな問題となっている。日露では、領土問題と、平和条約締結が課題であり、北朝鮮とは国交すら結ばれていない。今回は服部龍二(1968年生、中大教授 日本外交史)、大沼保昭(1946年生、東大名誉教授 国際法)両氏の著書から「歴史認識」を考えてみた。この問題のキーワードは、「東京裁判」、「歴史教科書問題」、「靖国神社公式参拝」、「河野談話」(1993年8月)と「慰安婦問題」、「村山談話」(1995年5月、日本の植民地支配と侵略行為を認める)である。日本国内では「なぜ我々はいつまで謝ればいいのか」という声があり、「永遠に頭を垂れよ」というリベラル左派もいる。欧米の「歴史認識」は。「かつての欧米列強は、日本とドイツを批判することをやっても、自分たちの植民地支配責任や帝国主義政策、他国への侵略行為に関しては、ほとんど反省の意を表していない。一般国民も知識人もほとんどない」「ドイツがこれまで謝罪してきたのは、主にホローコーストについてです。侵略戦争それ自体に対するドイツの反省はそれほど明確ではない」(大沼保昭)。徴用工問題、1965年6月22日に調印された「日韓請求権協定」で、両国は完全かつ最終的に解決されたこととなることを確認している。「被徴用韓人の未収金」について、「日本側は繰り返し本件の個人ベースによる解決を示唆したが、韓国側は韓国政府がまとめて受け取り、被害者に支払うと主張した」「韓国政府が被害者や遺族に個人補償として支払ったものの、その額は無償供与3億ドルの5.4%に過ぎなかった」(服部龍二)。「歴史認識」はどうしても感情的になりやすい。是非両著書を読まれたい。