損害保険料率とロードムービー


                          重山 勝

 

私の祖父は日暮里金美舘という映画館を持っていた。私が小学校1、2年生の頃である。その後人手にわたり、最後はポルノ映画館となり廃館となった。この映画館のことを川本三郎が『私の東京町歩き』という本で書いている。
 川本の近著『あの映画に、この鉄道』は邦画の鉄道ロードムービー作品242を取り上げ、それに関係する鉄道と駅について語った楽しい本だが、反面、次々と鉄道が廃線されている地方の窮状も教えてくれる。
 例えば「駅 STATION」に出てくる北海道の駅は、銭函、増毛(ここで高倉健が飲み屋を営む倍賞千恵子と束の間の恋をする)、上砂川、留萌の4駅。増毛は「魚影の群れ」、「春との旅」にも登場するが、ここと上砂川は既に廃止されている。
 鉄道の廃線を補う交通は路線バスにしても、地方自治体から運行の委託を受けている民間バスの撤退・縮小が進み、地方住民の生活や学生の通学が脅かされている。バス運転手の不足をもたらしているのが運転手の高齢化と厳しい労働環境である。
 マイカーはどうか。地方では一軒に2台という家庭も多いが、そのうちの1台は大抵軽自動車である。自動車取得税は今年10月以降軽排気量車ほど減税幅が大きくなるが、軽自動車税は減税されないなど、消費税率アップにともなう軽減措置をさほど受けない。
 損保業界は火災保険の水害リスク補償の保険料に地域差を設けることを計画している。業界は「安全で料率が低い地域に住む傾向が強まり、災害被害の減少につながる」(朝日1月28日)というが、地方の過疎化をさらに強めることになる。こうした発想には、昨年の臨時国会の終盤で、自公両党が地方の声をほとんど聞かず駆け込みで成立させた水道法と漁業法の改正につながるものがある。
 「国会の議論なんて無駄。どうせ多数決で決まるんだから」ともらす農漁業者。この声を私たちは重く受け止めなければならない。か「家主費用・利益保険特約」(三井住友海上、あいおいニッセイ同和損保)では、遺品整理費用として最大10万円、敷金を超える清掃・修復の原状回復費用として最大100万円、事故後に借り手がなく空室となった減収分として賃料の80%を最大12か月支払う。「家主費用・利益保険」(東京海上日動)でカバーされるものもある。